商品名:福达华 フルダラ静注用50mg一般名 フルダラビンリン酸エステル(Fludarabine Phosphate)〔JAN〕
化学名 (+)-2-Fluoro-9-(5-O-phosphono-β-D-arabinofuranosyl)-9H-purin-6-amin
分子式 C10H13FN5O7P
分子量 365.21
性状 本品は白色の結晶性の粉末である。
本品はN,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、水又は0.1mol/L塩酸試液に溶けにくく、エタノール(95)又はジエチルエーテルにほとんど溶けない。 本品は吸湿性である。 組成成分・含量
1瓶中、フルダラビンリン酸エステル50mg含有
承認条件
●貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病
本剤の未治療例及び増量時の臨床的有効性及び安全性を確認するため、適切な臨床試験を行い、その結果を含めた市販後調査結果を報告すること。 効能又は効果効能又は効果/用法及び用量
●貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病
●再発又は難治性の下記疾患 低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫 マントル細胞リンパ腫 ●下記疾患における同種造血幹細胞移植の前治療 急性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫 効能又は効果に関連する使用上の注意慢性リンパ性白血病において、本剤の対象は、未治療例の場合、原疾患の進展に起因する貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病患者(Rai分類でハイリスク群又はBinet分類でB又はC期)であり、既治療例の場合、少なくとも一種類の標準的なアルキル化剤を含む治療に無効又は進行性の慢性リンパ性白血病患者である。 用法及び用量
●貧血又は血小板減少症を伴う慢性リンパ性白血病
●再発又は難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫 通常、成人にはフルダラビンリン酸エステルとして、1日量20mg/m2(体表面積)を5日間連日点滴静注(約30分)し、23日間休薬する。これを1クールとし、投薬を繰り返す。 なお、患者の状態により適宜増減する。 ●同種造血幹細胞移植の前治療 フルダラビンリン酸エステルとして、1日量30mg/m2(体表面積)を6日間連日点滴静注(約30分)する。なお、患者の状態により、投与量及び投与日数は適宜減ずる。 用法及び用量に関連する使用上の注意1.
慢性リンパ性白血病、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫において、腎機能が低下している患者(クレアチニンクリアランスが30~70mL/分)では、腎機能の低下に応じて次のような目安により投与量を減量し、安全性を確認しながら慎重に投与すること。[「薬物動態」の項参照]
<減量の目安>
クレアチニンクリアランス(mL/分):70
投与量(mg/m2):18 クレアチニンクリアランス(mL/分):50 投与量(mg/m2):14 クレアチニンクリアランス(mL/分):30 投与量(mg/m2):12 2.
慢性リンパ性白血病、低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫への本剤投与にあたっては、好中球、血小板等の変動に十分留意し、前クールにおいて、高度の骨髄抑制が認められなかった場合に限り増量(最大25mg/m2/日)を考慮する。 3.
同種造血幹細胞移植の前治療においては、他の抗悪性腫瘍剤や全身放射線照射と併用すること。 4.
小児における本剤の同種造血幹細胞移植の前治療としての有効性及び安全性は確立していない。[使用経験が限られている。] 5.
本剤は、通常2.5mLの注射用水にて溶解し(フルダラビンリン酸エステル20mg/mL)、体表面積より計算した必要量をとり、日局生理食塩液100mL以上に希釈する。 使用上の注意慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)1.
腎機能が低下している患者(クレアチニンクリアランスが30~70mL/分の患者)[副作用が強くあらわれるおそれがある。] 2.
感染症を合併している患者[骨髄抑制により感染症が増悪するおそれがある。] 3.
肝障害のある患者[症状を悪化させるおそれがある。] 重要な基本的注意1.
骨髄抑制により感染症又は出血傾向等の重篤な副作用が増悪又は発現することがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。また、使用が長期間にわたると副作用が強くあらわれ、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。[「その他の注意」の項参照] 2.
遷延性のリンパ球減少(特にCD4陽性リンパ球の減少)により、重症の免疫不全が増悪又は発現する可能性があるので、頻回に臨床検査(血液検査等)を行うなど、免疫不全の兆候について綿密な検査を行うこと。異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うとともに、カンジダ等の真菌、サイトメガロウイルス等のウイルス、ニューモシスチス・カリニ等による重症日和見感染に注意すること。また、日和見感染の発現を抑制するため、あらかじめ適切な措置を講ずること。 3.
生殖可能な年齢の患者に投与する場合には、性腺に対する影響を考慮すること。[「その他の注意」の項参照] 4.
同種造血幹細胞移植の前治療薬として本剤を用いる際には、患者の状態及び臓器機能(心、肺、肝、腎等)を十分検討し、同種造血幹細胞移植を実施可能と判断される患者にのみ投与し、以下の事項について特に注意すること。
(1)
本剤の投与後は患者の状態を十分に観察し、致命的な感染症の発現を抑制するため、抗菌剤投与等の感染症対策を行い、適切な無菌管理を行うこと。 (2)
本剤の投与後は輸血及び造血因子の投与等適切な支持療法を行うこと。 相互作用
併用注意(併用に注意すること)薬剤名等
シタラビン
臨床症状・措置方法
骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
in vivo試験及びin vitro試験において、シタラビンの活性代謝物であるara-CTPの細胞内濃度の上昇が認められている。
薬剤名等
他の抗悪性腫瘍剤
臨床症状・措置方法
骨髄抑制等の副作用が増強するおそれがある。
機序・危険因子
ともに骨髄抑制作用を有する。
副作用副作用等発現状況の概要慢性リンパ性白血病を対象とした国内臨床試験において、総症例41例中、40例(97.6%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められ、主な自他覚症状は発熱11件(26.8%)、悪心5件(12.2%)、疲労5件(12.2%)、脱力感5件(12.2%)、嘔吐3件(7.3%)等であった。 主な臨床検査値異常は好中球減少25件(61.0%)、血小板減少21件(51.2%)、ヘモグロビン減少15件(36.6%)、赤血球減少14件(34.1%)等であった。(承認時) 重大な副作用(頻度不明)
汎血球減少、好中球減少、血小板減少、ヘモグロビン減少、赤血球減少等があらわれる又は増悪することがあるので、頻回に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
間質性肺炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、呼吸困難、咳、発熱等の症状が認められた場合には速やかにX線検査を行い、本剤の投与を中止するとともに、副腎皮質ホルモン剤の投与等の適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
錯乱、昏睡、興奮、けいれん発作、末梢神経障害等の精神神経障害があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
腫瘍崩解症候群(初期症状:側腹部痛、血尿)があらわれることがある。この合併症は高尿酸血症、高リン酸血症、低カルシウム血症、代謝性アシドーシス、高カリウム血症、血尿及び腎不全を伴うことがあるので、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと(本剤の治療効果が投与開始後1週間であらわれることがあるので、この合併症の危険性のある患者では予防措置を講じること)。
(頻度不明)
敗血症、肺炎等の重症日和見感染があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、抗生剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤の投与など適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
致命的な自己免疫性溶血性貧血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、輸血(放射線照射血)、副腎皮質ホルモン剤の投与など適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
自己免疫性血小板減少症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
赤芽球癆があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど、適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
脳出血、肺出血、消化管出血があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
出血性膀胱炎があらわれることがあるので、観察を十分に行い、血尿が認められた場合には減量、休薬等の適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
皮膚粘膜眼症候群(Stevens-Johnson症候群)、中毒性表皮壊死症(Lyell症候群)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、発熱、口腔粘膜の発疹、口内炎等が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
(頻度不明)
心不全があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。
その他の副作用0.1~5%未満※
咳、喘鳴、呼吸障害、呼吸困難、低酸素(症)
頻度不明※※
上気道炎、鼻咽頭炎、咽頭炎、アレルギー性鼻炎
5%以上※
悪心、嘔吐
0.1~5%未満※
便秘、口唇疱疹
頻度不明※※
食欲不振、下痢、口内炎、胃部不快感、腹痛、消化不良
5%以上※
脱力感
0.1~5%未満※
下肢知覚異常、手指感覚異常
頻度不明※※
視力障害、視神経炎、視神経障害、下垂手、頭痛、不眠、めまい、感覚減退(しびれ)、錯感覚注)
0.1~5%未満※
不整脈、脈拍数増加
頻度不明※※
浮腫、動悸
頻度不明※※
代謝性アシドーシス、膵酵素変化
5%以上※
LDH上昇、AST(GOT)上昇、ALT(GPT)上昇、総ビリルビン上昇
0.1~5%未満※
黄疸、ALP上昇、 γ-GTP上昇、血清総蛋白減少、血清アルブミン低下
頻度不明※※
ウロビリン尿
0.1~5%未満※
皮膚そう痒症
頻度不明※※
発疹、表皮剥離
5%以上※
BUN上昇、蛋白尿
0.1~5%未満※
クレアチニン上昇
頻度不明※※
高尿酸血症、高リン酸血症、低カルシウム血症、高カリウム血症、低ナトリウム血症
頻度不明※※
尿中結晶
5%以上※
発熱、疲労
0.1~5%未満※
疼痛、水痘、体重減少
頻度不明※※
悪寒、倦怠感、腰痛、CRP上昇、筋肉痛、神経痛、味覚異常、多汗、潮紅、無力症注)、インフルエンザ様症状注)、末梢性浮腫注)、四肢痛注)、粘膜障害
※:慢性リンパ性白血病を対象とした国内臨床試験における頻度
※※:海外添付文書等で記載のある副作用のため頻度不明
注)外国の臨床試験で報告された有害事象
高齢者への投与一般に高齢者では生理機能が低下しているので、本剤投与前に患者の状態及び臓器機能を十分検討し確認すること。投与開始後は、患者の状態を慎重に観察すること。 妊婦、産婦、授乳婦等への投与1.
胎児毒性及び催奇形性が報告されているので、妊婦又は妊娠している可能性のある女性には投与しないこと。[妊娠中に本剤の投与を受けた患者で奇形を有する児を出産したとの報告がある。] 2.
授乳中の女性に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。[動物実験で乳汁中に移行することが認められている。] 小児等への投与低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[使用経験が限られている。] 過量投与
徴候、症状
外国の急性白血病を対象とした臨床試験で、過量投与により失明、昏睡などの重篤な精神神経障害の発現が報告されている。 処置 本剤の投与を中止し、慎重に観察を行うとともに適切な対症療法を行うこと。 適用上の注意1. 投与時
調製後は速やかに使用すること。 2. 調製方法
(1)
本剤は、通常2.5mLの注射用水にて溶解し(フルダラビンリン酸エステル20mg/mL)、体表面積より計算した必要量をとり、日局生理食塩液100mL以上に希釈する。 (2)
他の薬剤との混注を避けること。[配合変化を起こす可能性がある。] (3)
本剤の取扱い及び調製にあたっては、手袋、防護メガネを使用するなど慎重に行うこと。本剤が皮膚又は粘膜に触れた場合には、直ちに石鹸でよく洗うこと。 その他の注意1.
フルダラビンリン酸エステルと他の抗悪性腫瘍剤で治療された患者に、骨髄異形成症候群、急性白血病が発生したとの報告がある。 2.
本剤の治療中又は治療後に、皮膚癌の発生、悪化又は再燃が報告されている。 3.
固形腫瘍患者を対象とした外国の第I相臨床試験で、顆粒球数が最低値を示すまでの平均期間(中央値)は、13日(範囲:3~25日)であり、血小板については16日(範囲:2~32日)であった。 4.
動物実験(ラット、イヌ)において精巣毒性が認められ、4週間の休薬期間では回復性が確認されていないので、不妊など性腺に対する影響を考慮すること。 薬物動態1. 薬物動態
日本人の慢性リンパ性白血病(CLL)及び成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)患者に本剤15、20、25mg/m2を1日1回30分点滴静注5日間連日投与したとき、投与1日目の血漿中代謝物(2F-ara-A)濃度は半減期0.6~0.8時間及び11~20時間の2相性で消失した。最高血漿中濃度及びAUCは用量依存的に増加した。また、投与5日目のAUCは1日目の約2倍に増加した1)。 包装注射剤 瓶 50mg×1 |