作成又は改訂年月
**2007年4月改訂(第7版)
*2005年6月改訂
日本標準商品分類番号
873327 87449
日本標準商品分類番号等
再評価結果公表年月(最新)
1977年10月
薬効分類名
抗プラスミン剤
承認等
販売名
トランサミン注5%
販売名コード
3327401A1127
承認・許可番号
承認番号
21400AMZ00157
商標名
TRANSAMIN INJECTION
薬価基準収載年月
2002年7月
販売開始年月
2002年9月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
基準名
*日本薬局方
トラネキサム酸注射液
規制区分
処方せん医薬品※
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1アンプル中に次の成分を含有
有効成分
トラネキサム酸(日局) 250mg/5mL(5W/V%)
性状
pH
7.0~8.0
浸透圧比(生理食塩液対比)
約1
外観
無色澄明の液
販売名
トランサミン注10%
販売名コード
3327401A2069
3327401A4185
承認・許可番号
承認番号
21400AMZ00158
商標名
TRANSAMIN INJECTION
薬価基準収載年月
2002年7月
販売開始年月
2002年9月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
基準名
*日本薬局方
トラネキサム酸注射液
規制区分
処方せん医薬品※
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1アンプル中にそれぞれ次の成分を含有
有効成分
トラネキサム酸(日局) 250mg/2.5mL(10W/V%) トラネキサム酸(日局) 1g/10mL(10W/V%)
性状
pH
7.0~8.0
浸透圧比(生理食塩液対比)
約2
外観
無色澄明の液
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1.
トロンビンを投与中の患者(「相互作用」の項参照)
2.
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
|
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
○全身性線溶亢進が関与すると考えられる出血傾向 (白血病、再生不良性貧血、紫斑病等、及び手術中・術後の異常出血) ○局所線溶亢進が関与すると考えられる異常出血 (肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血) ○下記疾患における紅斑・腫脹・そう痒等の症状 湿疹及びその類症、蕁麻疹、薬疹・中毒疹 ○下記疾患における咽頭痛・発赤・充血・腫脹等の症状 扁桃炎、咽喉頭炎 ○口内炎における口内痛及び口内粘膜アフター
トラネキサム酸として、通常成人1日250~500mgを1~2回に分けて静脈内又は筋肉内注射する。術中・術後等には必要に応じ1回500~1,000mgを静脈内注射するか、又は500~2,500mgを点滴静注する。
トランサミン注5%:
通常成人1日5~10mL(1~2アンプル)を1~2回に分けて静注又は筋注する。術中・術後等、必要に応じ1回10~50mL(2~10アンプル)を点滴静注する。
トランサミン注10%:
通常成人1日2.5~5mLを1~2回に分けて静注又は筋注する。術中・術後等、必要に応じ1回5~10mLを静注するか、又は5~25mLを点滴静注する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること)
1.
血栓のある患者(脳血栓、心筋梗塞、血栓性静脈炎等)及び血栓症があらわれるおそれのある患者[血栓を安定化するおそれがある。]
2.
消費性凝固障害のある患者(ヘパリン等と併用すること)[血栓を安定化するおそれがある。]
3.
術後の臥床状態にある患者及び圧迫止血の処置を受けている患者[静脈血栓を生じやすい状態であり、本剤投与により血栓を安定化するおそれがある。離床、圧迫解除に伴い肺塞栓症を発症した例が報告されている。]
4.
腎不全のある患者[血中濃度が上昇することがある。]
相互作用
併用禁忌
(併用しないこと)
1.
薬剤名等
トロンビン
臨床症状・措置方法
血栓形成傾向があらわれるおそれがある。
機序・危険因子
血栓形成を促進する作用があり、併用により血栓形成傾向が増大する。
|
併用注意
(併用に注意すること)
1.
薬剤名等
ヘモコアグラーゼ
臨床症状・措置方法
大量併用により血栓形成傾向があらわれるおそれがある。
機序・危険因子
ヘモコアグラーゼによって形成されたフィブリン塊は、本剤の抗プラスミン作用によって比較的長く残存し閉塞状態を持続させるおそれがあると考えられている。
2.
薬剤名等
バトロキソビン
臨床症状・措置方法
血栓・塞栓症を起こすおそれがある。
機序・危険因子
バトロキソビンによって生成するdesAフィブリンポリマーの分解を阻害する。
3.
薬剤名等
凝固因子製剤 エプタコグアルファ等
臨床症状・措置方法
口腔等、線溶系活性が強い部位では凝固系がより亢進するおそれがある。
機序・危険因子
凝固因子製剤は凝固系を活性化させることにより止血作用を発現する。一方、本剤は線溶系を阻害することにより止血作用を発現する。
副作用
副作用等発現状況の概要
副作用発生状況の概要
総症例数2,972例中報告された主な副作用は悪心0.07%(2件)、嘔吐0.17%(5件)、食欲不振0.03%(1件)、下痢0.07%(2件)、眠気0.03%(1件)等であった。〔文献集計による(再審査対象外)〕
重大な副作用
ショック
頻度不明注)
ショックを起こすことがあるので観察を十分に行い、異常が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注)自発報告又は海外において認められている副作用のため頻度不明。
その他の副作用
1. 過敏症
0.1%未満
そう痒感、発疹等
2. 消化器
0.1~1%未満
悪心、嘔吐
3. 消化器
0.1%未満
食欲不振、下痢
4. 眼
頻度不明注)
一過性の色覚異常(静脈内注射時)
5. その他
0.1%未満
眠気、頭痛
上記の副作用があらわれることがあるので、異常が認められた場合には必要に応じ投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
注)自発報告又は海外において認められている副作用のため頻度不明。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので減量するなど注意すること。
適用上の注意
1.
静脈内注射時:
ゆっくり静脈内に投与すること(急速に投与すると、まれに悪心、胸内不快感、心悸亢進、血圧低下等があらわれることがある)。
2.
筋肉内注射時:
筋肉内注射にあたっては、組織・神経等への影響を避けるため下記の点に注意すること。
(1)
注射部位については、神経走行部位を避けて慎重に投与すること。
(2)
くりかえし注射する場合には、左右交互に注射するなど、同一部位を避けること。なお、低出生体重児・新生児・乳児・幼児・小児には特に注意すること。
(3)
注射針を刺入したとき、激痛を訴えたり、血液の逆流をみた場合は、直ちに針を抜き、部位をかえて注射すること。
3.
開封時:
アンプルカット時の異物混入を避けるため、エタノール消毒綿等で清拭しカットすること。
その他の注意
イヌに長期・大量投与したところ網膜変性があらわれたとの報告がある。
薬物動態
1.
血中濃度1)
健康成人にトラネキサム酸500mgを単回筋肉内投与又は1,000mgを単回静脈内投与した場合、血漿中濃度推移は次のとおりであった。 トラネキサム酸単回静脈内投与及び単回筋肉内投与時の血漿中濃度推移
2.
分布
参考(動物実験)
マウスに14C-トラネキサム酸を単回静脈内投与及び単回筋肉内投与した場合の組織内分布は、肝、腎、肺で高く、膵、副腎、脾、前立腺、結腸、子宮、心、筋肉がこれに次ぎ、脳では低かった。
3.
代謝、排泄1)
健康成人にトラネキサム酸500mgを単回筋肉内投与又は1,000mgを単回静脈内投与した場合、トラネキサム酸は速やかに吸収され、投与後24時間以内に投与量のそれぞれ80%及び76%が未変化体として尿中に排泄された。
単回静脈内投与及び単回筋肉内投与におけるトラネキサム酸の薬物動態パラメーター
投与量 |
投与法 |
Tmax (hr) |
Cmax (μg/mL) |
t1/2 (hr) |
Vd (L) |
500mg |
筋注 |
0.5 |
21.2 |
2.0 |
- |
1,000mg |
静注 |
- |
60.0注) |
1.9 |
42.4 |
注)投与15分後
臨床成績
1.
抗出血作用
全身性線溶亢進が関与すると考えられる白血病、再生不良性貧血、紫斑病等の出血傾向、及び局所線溶亢進が関与すると考えられる肺出血、鼻出血、性器出血、腎出血、前立腺手術中・術後の異常出血に対する止血効果について、709例を対象とした一般臨床試験の結果、83.8%(594例)に効果が認められた。
2.
抗炎症作用
湿疹及び類症、蕁麻疹等の皮膚疾患の患者283例を対象とした一般臨床試験において、77.7%(220例)に改善が認められた。
薬効薬理
線維素溶解現象(線溶現象)は生体の生理的ならびに病的状態において、フィブリン分解をはじめ、血管の透過性亢進等に関与し、プラスミンによって惹起される生体反応を含め、種々の出血症状やアレルギー等の発生進展や治癒と関連している。 トラネキサム酸は、このプラスミンの働きを阻止し、抗出血・抗アレルギー・抗炎症効果を示す。
(1)
抗プラスミン作用2~6)
トラネキサム酸は、プラスミンやプラスミノゲンのフィブリンアフィニティー部位であるリジン結合部位(LBS)と強く結合し、プラスミンやプラスミノゲンがフィブリンに結合するのを阻止する。このため、プラスミンによるフィブリン分解は強く抑制される。更に、α2-マクログロブリン等血漿中アンチプラスミンの存在下では、トラネキサム酸の抗線溶作用は一段と強化される。
(2)
止血作用2)
異常に亢進したプラスミンは、血小板の凝集阻止、凝固因子の分解等を起こすが、軽度の亢進でも、フィブリン分解がまず特異的に起こる。したがって一般の出血の場合、トラネキサム酸は、このフィブリン分解を阻害することによって止血すると考えられる。
(3)
抗アレルギー・抗炎症作用7~10)
トラネキサム酸は、血管透過性の亢進、アレルギーや炎症性病変の原因になっているキニンやその他の活性ペプタイド等のプラスミンによる産生を抑制する(モルモット、ラット)。
有効成分に関する理化学的知見
1.
一般名
トラネキサム酸(Tranexamic Acid)
2.
化学名
trans -4-(Aminomethyl)cyclohexanecarboxylic acid
3.
分子式
C8H15NO2
4.
分子量
157.21
5.
構造式
6.
**性状
白色の結晶又は結晶性の粉末である。水に溶けやすく、エタノール(99.5)にほとんど溶けない。
取扱い上の注意
本品は、「ワンポイントカットアンプル」を使用しているので、アンプル枝部のマークを上にして、反対方向に折りとること。
包装
*トランサミン注5%(日本薬局方トラネキサム酸注射液) (5mL) 10アンプル 50アンプル
*トランサミン注10%(日本薬局方トラネキサム酸注射液) (2.5mL) 10アンプル 50アンプル (10mL) 10アンプル 50アンプル
主要文献及び文献請求先
主要文献
1)
佐野光司ほか:臨床薬理 1976;7:375-382
2)
安孫子雍史:Med. Pharm. 1976;10(1):7-11
3)
Iwamoto, M.:Thrombos. Diathes. Haemorrh. 1975;33:573-585
4)
Markus, G. et al.:J. Biol. Chem. 1979;254:1211-1216
5)
Abiko, Y. et al.:Biochim. Biophys. Acta 1969;185:424-431
6)
Abiko, Y. et al.:Biochim. Biophys. Acta 1970;214:411-418
7)
山田外春ほか:プラスミン研究会報告集 1974;14:364-366
8)
木村義民ほか:アレルギー 1966;15(9):755-763
9)
近藤元治:プラスミン研究会報告集 1966;6:36-37
10)
山崎英正ほか:日薬理誌 1967;63(6):560-571
文献請求先・製品情報お問い合わせ先
**第一三共株式会社 製品情報センター
〒103-8426 東京都中央区日本橋本町3-5-1
TEL:0120-189-132
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
製造販売元
第一三共株式会社
東京都中央区日本橋本町3-5-1
|