azilva (azilsartan TAB) アジルバ錠 2012-03-27 23:39:55 テーマ:降圧薬 一般名はアジルサルタンであり、久しぶりにnewARBの登場である。
アンジオテンシンⅡレセプターのAT1レセプターに高親和性のARBである。
私も含めて、ここ最近ARBと称してこの辺のアンギオテンシン系の知識がおざなりになっていらっしゃる先生のためにもこの辺をおさらいしたい。
まず、アンジオテンシノーゲンという前駆物質がレニンの作用によって、アンジオテンシンⅠになる。アンジオテンシンⅠではまだ昇圧効果を示さない。 アンジオテンシンⅠからアンジオテンシン変換酵素(ACE)またはキマーゼ、カテプシンGによってアンジオテンシンⅡとなる。 このアンジオテンシンⅡは昇圧効果を示す物質である。 このアンジオテンシンⅡには二つのレセプターがある。 アンジオテンシンⅡタイプ1受容体とアンジオテンシンⅡタイプ2受容体である。 それぞれAT1受容体、AT2受容体と訳す。 この時にアンジオテンシンⅡのⅡが消えるため、AT1やらAT2がアンジオテンシンⅠやらアンジオテンシンⅡなどと混合した経験は皆様もお持ちではないだろうか?
AT1受容体は血管収縮に働き、血圧を上昇させる。さらに心肥大も引き起こす。 いわば、作用してもらっては困るアンジオテンシンⅡ受容体だ。 AT2の方は血管を拡張させ、血圧が下降する。さらに心肥大も抑制する働きをする。 いわば、作用した方がいいアンジオテンシンⅡ受容体だ。
つまり、アンジオテンシンⅡ受容体ブロッカー(ARB)としてはこのAT1受容体を選択的に阻害した方がより良く恩恵を受けられるという事になる。
このAT1親和性はIC50という数値で比べる事ができる。 IC50は受容体半分を阻害するのにどれくらいの濃度が必要かを示したものであり、低い方がその受容体に対して親和性が高いという事になる。 バルサルタン(44.9)、テルミサルタン(5.1)、オルメサルタン(6.7)であるのに対して、 アジルサルタンでは(2.6)という数字を出している。
さらに、AT1受容体に結合後、数回洗浄した試験でも他のARBに比べて、AT1受容体阻害率が変わらないデータを得られ、 つまりは少量でずっとくっ付いているのがアジルサルタンであるという事になる。
この事は効果を期待できるのと同時に副作用の低血圧が出た時には遷延する可能性もあるという事である。 このアジルサルタン(アジルバ錠)においては初期からの高用量は避けるべきであると考える。
アジルバ錠は1日1回が用法の薬剤である。
しかし、半減期は12-13時間とやや1日持ちそうにない半減期である。 これはアジルサルタンが脂溶性が高く、体内に保持されるためであるのと、先ほど示したように受容体結合が非常に強固であるためであろうと思う。
アジルバ錠のこのがっちりと長く効く降圧効果は長期に服用する必要のあるARBのような薬剤にはアドヒアランスがやや悪く、毎日ではなく、飛び飛びにしか服用しない患者さんにおいては飲んでいない日も比較的効果があるのかもしれない。 誤解の無いように付け足すが、アジルバ錠は毎日服用すべき薬剤である事は間違いない。
懸念すべきところとしては、extreme-dipper型と言われる夜間に血圧が下がる患者さんにおいてはこのアジルバ錠という薬剤の特徴上慎重に投与される事が良いように思う。
武田薬品工業から発売されるアジルバ錠は同社のブロプレス錠の後継薬となる薬剤である。
http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/2149048F1022_1_01/
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