VenoglobulinIH5%I.V(球蛋白静脉注射)献血ヴェノグロブリンIH5%静注0.5g/10mL/献血ヴェノグロブリンIH5%静注1g/20mL/献血ヴェノグロブリンIH5%静注2.5g/50mL/献血ヴェノグロブリンIH5%静注5g/100mL
作成又は改訂年月
**2011年 9月改訂(第22版)D17
*2011年 2月改訂
日本標準商品分類番号
876343
日本標準商品分類番号等
- 再審査結果公表年月(最新)
2003年6月
- 再評価結果公表年月(最新)
2001年8月
- 効能又は効果追加承認年月(最新)
**2011年 9月
薬効分類名
漿分画製剤(液状・静注用人免疫グロブリン製剤)
承認等
献血ヴェノグロブリンIH5%静注0.5g/10mL
販売名コード
6343428A1050
承認・許可番号
- 承認番号
22100AMX01046
- 商標名
VenoglobulinIH5%I.V.0.5g/10mL
薬価基準収載年月
2009年9月
販売開始年月
1992年1月
貯法・使用期限等
- 貯法
凍結を避け10℃以下に保存
- 有効期間
検定合格の日から2年(最終有効年月日は外箱及びラベルに表示)
基準名
- 生物学的製剤基準
ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン
規制区分
- 特定生物由来製品
- 処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
- 有効成分〔1瓶(10mL)中〕
人免疫グロブリンG 500mg
- 添加物〔1瓶(10mL)中〕
D-ソルビトール 500mg,水酸化ナトリウム 適量,塩酸 適量
- 備考
- 人免疫グロブリンGは,ヒト血液に由来する.
(採血国:日本,採血の区別:献血)
性状
- 性状・剤形
本剤は1mL中に人免疫グロブリンG50mgを含有する無色ないし淡黄色の澄明な液剤である.
- pH
3.9~4.4
- 浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
献血ヴェノグロブリンIH5%静注1g/20mL
販売名コード
6343428A3053
承認・許可番号
- 承認番号
22100AMX01047
- 商標名
VenoglobulinIH5%I.V.1g/20mL
薬価基準収載年月
2009年9月
販売開始年月
1996年9月
貯法・使用期限等
- 貯法
凍結を避け10℃以下に保存
- 有効期間
検定合格の日から2年(最終有効年月日は外箱及びラベルに表示)
基準名
- 生物学的製剤基準
ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン
規制区分
- 特定生物由来製品
- 処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
有効成分〔1瓶(20mL)中〕
人免疫グロブリンG 1,000mg
- 添加物〔1瓶(20mL)中〕
D-ソルビトール 1,000mg,水酸化ナトリウム 適量,塩酸 適量
- 備考
人免疫グロブリンGは,ヒト血液に由来する. (採血国:日本,採血の区別:献血)
性状
- 性状・剤形
本剤は1mL中に人免疫グロブリンG50mgを含有する無色ないし淡黄色の澄明な液剤である.
- pH
3.9~4.4
- 浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
献血ヴェノグロブリンIH5%静注2.5g/50mL
販売名コード
6343428A2057
承認・許可番号
- 承認番号
22100AMX01048
- 商標名
VenoglobulinIH5%I.V.2.5g/50mL
薬価基準収載年月
2009年9月
販売開始年月
1992年1月
貯法・使用期限等
- 貯法
凍結を避け10℃以下に保存
- 有効期間
検定合格の日から2年(最終有効年月日は外箱及びラベルに表示)
基準名
- 生物学的製剤基準
ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン
規制区分
- 特定生物由来製品
- 処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
- 有効成分〔1瓶(50mL)中〕
人免疫グロブリンG 2,500mg
- 添加物〔1瓶(50mL)中〕
D-ソルビトール 2,500mg,水酸化ナトリウム 適量,塩酸 適量
- 備考
人免疫グロブリンGは,ヒト血液に由来する. (採血国:日本,採血の区別:献血)
性状
- 性状・剤形
本剤は1mL中に人免疫グロブリンG50mgを含有する無色ないし淡黄色の澄明な液剤である.
- pH
3.9~4.4
- 浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
献血ヴェノグロブリンIH5%静注5g/100mL
販売名コード
6343428A4033
承認・許可番号
- 承認番号
22100AMX01049
- 商標名
VenoglobulinIH5%I.V.5g/100mL
薬価基準収載年月
2009年9月
販売開始年月
2002年10月
貯法・使用期限等
- 貯法
凍結を避け10℃以下に保存
- 有効期間
検定合格の日から2年(最終有効年月日は外箱及びラベルに表示)
基準名
- 生物学的製剤基準
ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリン
規制区分
- 特定生物由来製品
- 処方せん医薬品注)
注)注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
- 有効成分〔1瓶(100mL)中〕
人免疫グロブリンG 5,000mg
- 添加物〔1瓶(100mL)中〕
D-ソルビトール 5,000mg,水酸化ナトリウム 適量,塩酸 適量
- 備考
人免疫グロブリンGは,ヒト血液に由来する. (採血国:日本,採血の区別:献血)
性状
- 性状・剤形
本剤は1mL中に人免疫グロブリンG50mgを含有する無色ないし淡黄色の澄明な液剤である.
- pH
3.9~4.4
- 浸透圧比
約1(生理食塩液に対する比)
特殊記載項目
本剤は,貴重な人血液を原料として製剤化したものである.原料となった血液を採取する際には,問診,感染症関連の検査を実施するとともに,製造工程における一定の不活化・除去処理を実施し,感染症に対する安全対策を講じているが,人血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため,疾病の治療上の必要性を十分に検討の上,必要最小限の使用にとどめること.(「使用上の注意」の項参照)
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禁忌
(次の患者には投与しないこと) - 1. 本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者
- 2. 遺伝性果糖不耐症の患者〔本剤の添加物D-ソルビトールが体内で代謝されて生成した果糖が正常に代謝されず,低血糖症等が発現し,肝不全や腎不全が誘発されるおそれがある.〕
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原則禁忌
(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与すること)
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
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効能又は効果
- 1. 低並びに無ガンマグロブリン血症
- 2. 重症感染症における抗生物質との併用
- 3. 特発性血小板減少性紫斑病(他剤が無効で,著明な出血傾向があり,外科的処置又は出産等一時的止血管理を必要とする場合)
- 4. 川崎病の急性期(重症であり,冠動脈障害の発生の危険がある場合)
- 5. 多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)
- *6. 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善
- **7. 全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る)
効能又は効果に関連する使用上の注意
- 1. 重症感染症における抗生物質との併用に用いる場合は,適切な抗菌化学療法によっても十分な効果の得られない重症感染症を対象とすること. 2. 川崎病に用いる場合は,発病後7日以内に投与を開始することが望ましい.
- 3. 多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の治療に用いる場合は,原則として,下記に規定するいずれかのステロイド剤による治療を実施しても十分な効果の得られない患者を対象とすること.
[ステロイド剤が効果不十分の判断基準] (1) 本剤投与12週以上前からの治療歴で判断する場合 本剤投与の12週以上前に副腎皮質ステロイドをプレドニゾロン換算で50mg/日以上又は1mg/kg/日以上のステロイド大量療法にて1ヵ月以上治療した治療歴があり,その後も本剤投与開始時までステロイド治療を継続していたにもかかわらず,十分な改善が認められず,血中CK値が基準値上限を超えている患者. (2) 本剤投与前の12週未満の治療歴で判断する場合 本剤投与前6~12週の時点で副腎皮質ステロイドをプレドニゾロン換算で50mg/日以上又は1mg/kg/日以上のステロイド大量療法を実施していた治療歴があり,その後も本剤投与開始時までステロイド治療を継続していたにもかかわらず,十分な改善が認められず,血中CK値が基準値上限を超えており,4週間以上の間隔をおいて測定された直近の検査値の比較で,血中CK値の低下が認められていない患者. - 4. 本剤は多発性筋炎・皮膚筋炎における皮膚症状の改善を目的として投与する薬剤ではない(本剤の皮膚症状に対する有効性は確立していない).
- **5.全身型重症筋無力症に用いる場合は,ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤による適切な治療によっても十分効果が得られない患者のみを対象とすること.また,本剤による治療を行う前に,胸腺摘除術の実施を考慮すること.(臨床試験では,プレドニゾロン換算で60mg/隔日以上若しくは1.2mg/kg/隔日以上,又は30mg/連日以上若しくは0.6mg/kg/連日以上のステロイド剤を4週間以上服用した治療歴があり,現在も継続してステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤を服用しているにもかかわらず十分な改善が認められない又は再燃を繰り返す患者に対し,本剤の有効性及び安全性が検討されている.〔【臨床成績】6.の項参照〕)
用法及び用量
本剤は効能・効果に応じて以下のとおり投与する.なお,直接静注する場合は,きわめて緩徐に行うこと. ・低並びに無ガンマグロブリン血症: 通常,1回人免疫グロブリンGとして200~600 mg(4~12mL)/kg体重を3~4週間隔で点滴静注又は直接静注する.患者の状態によって適宜増減する. ・重症感染症における抗生物質との併用: 通常,成人に対しては,1回人免疫グロブリンGとして2,500~5,000mg(50~100mL)を,小児に対しては,1回人免疫グロブリンGとして100~150mg(2~3mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する.症状によって適宜増量する. ・特発性血小板減少性紫斑病: 通常1日に,人免疫グロブリンGとして200~400mg(4~8mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する.なお,5日間使用しても症状に改善が認められない場合は,以降の投与を中止すること.年齢及び症状に応じて適宜増減する. ・川崎病の急性期: 通常,人免疫グロブリンGとして1日に400mg(8mL)/kg体重を5日間点滴静注又は直接静注,若しくは人免疫グロブリンGとして2,000mg(40mL)/kg体重を1回点滴静注する.なお,年齢及び症状に応じて適宜減量する. ・多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る): 通常,成人には1日に人免疫グロブリンGとして400mg(8mL)/kg体重を5日間点滴静注する. *・慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の筋力低下の改善: 通常,1日に人免疫グロブリンGとして400mg(8mL)/kg体重を5日間連日点滴静注又は直接静注する.なお,年齢及び症状に応じて適宜減量する. **・全身型重症筋無力症(ステロイド剤又はステロイド剤以外の免疫抑制剤が十分に奏効しない場合に限る): 通常,成人には1日に人免疫グロブリンGとして400mg(8mL)/kg体重を5日間点滴静注する.
用法及び用量に関連する使用上の注意
- 1. 急速に注射すると血圧降下を起こす可能性がある(低・無ガンマグロブリン血症の患者には注意すること).
- 2. 投与速度:
ショック等の副作用は初日の投与開始1時間以内,また投与速度を上げた際に起こる可能性があるので,これらの時間帯については特に注意すること. (1)初日の投与開始から1時間は0.01mL/kg/分で投与し,副作用等の異常所見が認められなければ,徐々に速度を上げてもよい.ただし,0.03mL/kg/分を超えないこと.2日目以降は,前日に耐容した速度で投与する. (2)川崎病の患者に対し,2,000mg(40mL)/kgを1回で投与する場合は,基本的には(1)の投与速度を遵守することとするが,急激な循環血液量の増大に注意し,20時間以上かけて点滴静注すること.
- 3. 低並びに無ガンマグロブリン血症の用法・用量は,血清IgGトラフ値を参考に,基礎疾患や感染症などの臨床症状に応じて,投与量,投与間隔を調節する必要があることを考慮すること.
- **4. 多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の治療及び全身型重症筋無力症の治療において,少なくとも本剤投与後4週間は本剤の再投与を行わないこと(4週間以内に再投与した場合の有効性及び安全性は検討されていない).
- *5. 慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)における筋力低下の改善は,本剤投与終了1カ月後に認められることがあるので,投与後の経過を十分に観察し,本剤投与終了後1カ月間においては本剤の追加投与は行わないこと.
使用上の注意
慎重投与
(次の患者には慎重に投与すること) - 1. IgA欠損症の患者〔抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある.〕
- 2. 腎障害のある患者〔腎機能を悪化させるおそれがある.〕
- 3. 脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者〔大量投与による血液粘度の上昇等により脳梗塞又は心筋梗塞等の血栓塞栓症を起こすおそれがある.〕
- 4. 血栓塞栓症の危険性の高い患者〔大量投与による血液粘度の上昇等により血栓塞栓症を起こすおそれがある.〕
- 5. 溶血性・失血性貧血の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある.〕
- 6. 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者〔ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない.感染した場合には,持続性の貧血を起こすことがある.〕
- 7. 心機能の低下している患者〔大量投与による急激な循環血液量の増大等によりうっ血性心不全を起こすおそれがある.〕
重要な基本的注意
患者への説明:本剤の使用にあたっては,疾病の治療における本剤の必要性とともに,本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが,血液を原料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを,患者に対して説明し,理解を得るよう努めること.
- 1. 本剤の原材料となる献血者の血液については,HBs抗原,抗HCV抗体,抗HIV-1抗体,抗HIV-2抗体及び抗HTLV-I抗体陰性で,かつALT(GPT)値でスクリーニングを実施している.更に,プールした試験血漿については,HIV-1,HBV及びHCVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し,適合した血漿を本剤の製造に使用しているが,当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する.本剤は,以上の検査に適合した血漿を原料として,Cohnの低温エタノール分画で得た画分からポリエチレングリコール4000処理,DEAEセファデックス処理等により人免疫グロブリンを濃縮・精製した製剤であり,ウイルス不活化・除去を目的として,製造工程において60℃,10時間の液状加熱処理,ウイルス除去膜によるろ過処理及びpH3.9~4.4の条件下での液状インキュベーション処理を施しているが,投与に際しては,次の点に十分注意すること.
- (1) 血漿分画製剤の現在の製造工程では,ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため,本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので,投与後の経過を十分に観察すること.
- (2) 現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない.しかしながら,製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの,理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので,投与の際には患者への説明を十分行い,治療上の必要性を十分検討の上投与すること.
- 2. ショック等重篤な副作用を起こすことがあるので,注意して使用し,経過を十分観察すること.特に小児等に使用する場合には投与速度に注意するとともに,経過を十分に観察すること.(「用法・用量に関連する使用上の注意」の項参照)
- 3. 本剤は抗A及び抗B血液型抗体を有する.したがって,血液型がO型以外の患者に大量投与したとき,まれに溶血性貧血を起こすことがある.
- 4. 本剤による特発性血小板減少性紫斑病の治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること.
- 5. 小児の急性特発性血小板減少性紫斑病は多くの場合自然寛解するものであることを考慮すること.
- 6. 川崎病の患者では特に1歳未満の乳幼児群に投与した場合,AST(GOT),ALT(GPT)上昇等の肝機能障害発現率が高い傾向が認められているので,投与後の観察を十分に行うこと.
- 7. 川崎病の患者における追加投与は,本剤投与による効果が不十分(発熱の持続等)で,症状の改善がみられないなど必要と判断される場合にのみ行うこと.〔本剤追加投与の有効性及び安全性は確立していない.〕
- **8. 多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下及び全身型重症筋無力症において,本剤投与後に明らかな臨床症状の悪化が認められた場合には,治療上の有益性と危険性を十分に考慮した上で,本剤の再投与を判断すること(本剤を再投与した場合の有効性及び安全性は確立していない).
- *9. 本剤による慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(多巣性運動ニューロパチーを含む)の治療は原因療法ではなく対症療法であること及び反復投与による有効性,安全性は確立していないことに留意すること.
相互作用
併用注意
(併用に注意すること) - 薬剤名等
非経口用生ワクチン(麻疹ワクチン,おたふくかぜワクチン,風疹ワクチン,これら混合ワクチン,水痘ワクチン等) - **臨床症状・措置方法
本剤の投与を受けた者は,生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので,生ワクチンの接種は本剤投与後3ヵ月以上延期すること.また,生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は,投与後3ヵ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい.なお,特発性血小板減少性紫斑病(ITP),川崎病,多発性筋炎・皮膚筋炎,多巣性運動ニューロパチー(MMN)を含む慢性炎症性脱髄性多発根神経炎(CIDP),全身型重症筋無力症に対する大量療法(200mg/kg以上)後に生ワクチンを接種する場合は,原則として生ワクチンの接種を6ヵ月以上(麻疹感染の危険性が低い場合の麻疹ワクチン接種は11ヵ月以上)延期すること.
- 機序・危険因子
本剤の主成分は免疫抗体であるため,中和反応により生ワクチンの効果が減弱されるおそれがある.
副作用
副作用等発現状況の概要
**総症例数2,486例(使用対象疾患:川崎病2,355例,多発性筋炎・皮膚筋炎 52例,低並びに無ガンマグロブリン血症※15例,重症感染症26例,特発性血小板減少性紫斑病15例,全身型重症筋無力症 23例)中285例(11.46%)540件の副作用が報告されている.主な症状としては,肝障害142件(5.71%),悪寒・戦慄77件(3.10%),発熱39件(1.57%),チアノーゼ27件(1.09%),振戦23件(0.93%)等であった.〔全身型重症筋無力症の効能・効果追加承認時〕 ※「通常,成人に対しては,1回人免疫グロブリンGとして2,500~5,000mg(50~100mL)を,小児に対しては,1回人免疫グロブリンGとして100~150mg(2~3mL)/kg体重を点滴静注又は直接静注する.症状によって適宜増量する.」に従って投与された. なお,川崎病の急性期を対象とした使用成績調査における副作用の発現率は10.96%(224例/2,044例)で,そのうちショック0.78%(16例18件),ショック又はショックが疑われる症状(チアノーゼ,血圧低下等)2.74%(56例67件)であり,重篤な副作用の発現率は2.89%(59例84件)であった.また,川崎病の急性期の再審査期間中に報告された自発報告において,出荷量あたりの重篤な副作用の発現例数は53例/1,000kg(222例268件)で,そのうちショック17例/1,000kg(72例79件),ショック又はショックが疑われる症状(チアノーゼ,血圧低下等)26例/1,000kg(111例130件)であった.
重大な副作用
- 1. ショック,アナフィラキシー様症状(0.1~ 5 %未満):
ショック,アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,頻脈,喘鳴,喘息様症状,胸内苦悶,血圧低下,脈拍微弱,チアノーゼ等が認められた場合には,直ちに投与を中止し,適切な処置を行うこと.
- 2. 肝機能障害(0.1~5%未満),黄疸(頻度不明):
AST(GOT),ALT(GPT),Al-P,γ-GTP,LDHの著しい上昇等を伴う肝機能障害,黄疸があらわれることがあるので,観察を十分に行い,異常が認められた場合には,適切な処置を行うこと.
- 3. 無菌性髄膜炎(0.1~5%未満):
大量投与により無菌性髄膜炎(項部硬直,発熱,頭痛,悪心・嘔吐あるいは意識混濁等)があらわれることがあるので,このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
- 4. 急性腎不全(頻度不明):
急性腎不全があらわれることがあるので,投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認するとともに,観察を十分に行い,腎機能検査値(BUN,血清クレアチニン等)の悪化,尿量減少が認められた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.なお,急性腎不全の危険性の高い患者においては,適宜減量し,できるだけゆっくりと投与することが望ましい.
- 5. 血小板減少(頻度不明):
血小板減少を起こすことがあるので,観察を十分に行い,このような場合には,適切な処置を行うこと.
- 6. 肺水腫(頻度不明):
肺水腫があらわれることがあるので,呼吸困難等の症状があらわれた場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
- 7. 血栓塞栓症(頻度不明):
大量投与例で,血液粘度の上昇等により,脳梗塞,心筋梗塞,肺塞栓症,深部静脈血栓症等の血栓塞栓症があらわれることがあるので,観察を十分に行い,中枢神経症状(めまい,意識障害,四肢麻痺等),胸痛,突然の呼吸困難,息切れ,下肢の疼痛・浮腫等の症状が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.なお,血栓塞栓症の危険性の高い患者においては,適宜減量し,できるだけゆっくりと投与することが望ましい.〔「慎重投与」(3)(4)及び「高齢者への投与」(2)の項参照〕
- 8. 心不全(頻度不明):
主として川崎病への大量投与例で,循環血液量過多により心不全を発症又は悪化させることがあるので,観察を十分に行い,呼吸困難,心雑音,心機能低下,浮腫,尿量減少等が認められた場合には,投与を中止し,適切な処置を行うこと.なお,心機能の低下している患者においては,適宜減量し,できるだけゆっくりと投与することが望ましい.〔「慎重投与」(7)の項参照〕
その他の副作用
- 1. 過敏症注)
0.1~5%未満
発疹,蕁麻疹
- 2. 過敏症注)
0.1%未満
顔面潮紅,局所性浮腫
- 3. 過敏症注)
頻度不明
そう痒感,全身発赤等
- 4. 精神神経系注)
0.1~5%未満
振戦,痙攣
- 5. 精神神経系注)
0.1%未満
傾眠
- 6. 精神神経系注)
頻度不明
意識障害,不穏
- 7. 循環器注)
0.1~5%未満
顔色不良,四肢冷感
- 8. 循環器注)
0.1%未満
血圧上昇,徐脈
- **9. 肝臓
5%以上
機能検査値の異常〔AST (GOT) ,ALT (GPT) ,γ- GTP,Al-Pの上昇等〕
- 10. 呼吸器
0.1%未満
咳嗽
- 11. 呼吸器
頻度不明
喘息様症状,低酸素血症
- 12. 消化器
0.1~5%未満
悪心,嘔吐,下痢
- 13. 消化器
0.1%未満
腹痛
- 14. 血液
0.1%未満
好中球減少
- **15. 血液
頻度不明
白血球減少,好酸球増多,溶血性貧血
- **16. その他
0.1~5%未満
頭痛,発熱,悪寒・戦慄,体温低下
- 17. その他
0.1%未満
四肢痛
- 18. その他
頻度不明
けん怠感,関節痛,背部痛,CK(CPK)上昇,ほてり,不機嫌
その他の副作用の注意
上記のような症状があらわれることがあるので,観察を十分に行い,発現した場合には,適切な処置を行うこと.
注)このような場合には投与を中止し,適切な処置を行うこと.
高齢者への投与
- 1. 一般に高齢者では生理機能が低下しているので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.
- 2. 一般的に高齢者では脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者がみられ,血栓塞栓症を起こすおそれがあるので,患者の状態を観察しながら慎重に投与すること.
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には,治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること.〔妊娠中の投与に関する安全性は確立していない.本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない.感染した場合には胎児への障害(流産,胎児水腫,胎児死亡)が起こる可能性がある.〕
小児等への投与
低出生体重児,新生児に対する安全性は確立していない.
臨床検査結果に及ぼす影響
本剤には各種感染症の病原体又はその産生物質に対する免疫抗体が含まれており,投与後の血中にこれら免疫抗体が一時検出されることがあるので,臨床診断には注意を要する.
適用上の注意
- 1. 調製時
- (1) 他剤との混合注射を避けること.
- (2) 使用後の残液は,細菌汚染のおそれがあるので使用しないこと(本剤は細菌の増殖に好適なたん白であり,しかも保存剤が含有されていないため).
- 2. 投与時
- (1) 室温程度に戻した後投与すること.
- (2) 不溶物の認められるもの又は混濁しているものは使用してはならない.
薬物動態
低並びに無ガンマグロブリン血症患者に本剤と乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンを静注し,血中半減期を求めたところ,それぞれ,約27±3日及び28±6日であり,両製剤間に有意な差は認められなかった1).
臨床成績
- 1. 低並びに無ガンマグロブリン血症2)
免疫グロブリン補充療法を受けたX連鎖無ガンマグロブリン血症患者29例を対象としたレトロスペクティブな研究において,高用量の静注用人免疫グロブリン(IVIG)(3週間ごとに350~600mg/kg)の治療を受け,血清IgGトラフ値が500mg/dL以上となった患者の感染症の発症頻度及び入院期間は1.04回/年及び0.70日/年であったが,未治療,筋注用人免疫グロブリンもしくは低用量IVIG(3週間ごとに200mg/kg未満)で治療され,血清IgGトラフ値が151mg/dL以上500mg/dL未満だった患者では1.75回/年及び9.00日/年であったとの報告がある.
- 2. 重症感染症3)
再評価に対する市販後臨床試験において,広範囲抗生物質を3日間投与しても感染主要症状の十分な改善が認められない重症感染症の患者682例を対象として,抗生物質と静注用人免疫グロブリン5g/日,3日間との併用群(IVIG群)又は抗生物質単独投与群(対照群)に割り付けた非盲検群間比較試験を行った. 解熱効果,臨床症状の改善効果又は検査所見(炎症マーカーであるCRP値の推移)を評価基準として有効性を評価した結果,IVIG群はいずれにおいても対照群に比べ有意に優れており,有効率はIVIG群61.5%(163/265),対照群47.3%(113/239)であった.
- 3. 特発性血小板減少性紫斑病4)
特発性血小板減少性紫斑病患者15例(評価対象14例)について,5万/mm3以上の血小板数増加及び出血症状の推移を基に評価された有効率は,小児で80.0%(4/5),成人で66.7%(6/9),合計71.4%(10/14)であった.
- 4. 川崎病5,6)
多施設群間比較試験において,30病日までの冠動脈病変を指標にした400mg/kg体重/日5日間連日投与群の有効率は,95.4%(145/152)であり,200mg/kg体重/日5日間連日投与群の87.1%(128/147)に比し,有意に優れていた(差の95%信頼区間4.0~10.8%)5). 海外の静注用人免疫グロブリン製剤による400mg/kg体重/日4日間連日投与群と2g/kg体重単回投与群との比較試験で,登録2週間後及び7週間後での冠動脈病変の相対的発生率(400mg/kg体重/日4日間連日投与群/2g/kg体重単回投与群)は,登録時に冠動脈病変が認められた症例を含めた場合,それぞれ1.94(p=0.045),1.84(p=0.099),登録時に冠動脈病変が認められた症例を除外した場合,それぞれ2.33(p=0.067),1.67(p=0.307)であったと報告されている6). 上記川崎病に対する効果はいずれもアスピリンとの併用時に得られたものである.
- 5. 多発性筋炎・皮膚筋炎7)
ステロイド剤が効果不十分な多発性筋炎・皮膚筋炎を対象とした臨床試験(G群:第1期本剤,第2期プラセボ,P群:第1期プラセボ,第2期本剤)において,400mg/kg体重を5日間投与した.その結果,第1期(8週間)における徒手筋力(MMT)合計スコアは下表のとおりであり,G群(本剤)の最終評価時のMMT合計スコア変化量は投与前に比し有意に改善した(対応のあるt検定,p=0.0004).なお,第1期でのMMT合計スコア変化量は,G群(本剤)でP群(プラセボ)の変化量を上回った(本試験では,本剤のプラセボに対する優越性を検証するための検出力は考慮されていない).
**6. 全身型重症筋無力症8)
既存治療(ステロイド剤,ステロイド剤以外の免疫抑制剤又は胸腺摘除術)で症状のコントロールに難渋しており,血液浄化療法の実施が必要と判断される全身型重症筋無力症患者を対象とした血液浄化療法対照非盲検無作為化比較試験を実施した.本剤400mg/kg体重を5日間投与若しくは血液浄化療法を14日間で3~5回実施した結果,最終評価時(4週後又は中止時)の合計QMGスコアのベースラインからの変化量は下表のとおりであり,本剤群の合計QMGスコアの変化量は投与前に比し有意に改善した(対応のあるt検定,p<0.0001).なお,最終評価時の合計QMGスコアの変化量は,本剤群と血液浄化療法群で同程度であった(本試験では,本剤の血液浄化療法に対する非劣性を検証するための検出力は考慮されていない).
薬効薬理
- 1. 抗体活性9)
本剤の有効成分である人免疫グロブリンGは,任意多数の健康人血漿をプールしたものより精製された人免疫グロブリンGであるから,ヒトの間に広くまん延している各種細菌,細菌毒素,ウイルスに対する一定量の免疫抗体が濃縮されている.この抗体活性は対照として用いた乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンと同等であった.
- 2. オプソニン効果10)
本剤のオプソニン効果(食菌促進効果,殺菌促進効果)は,in vitroにおいて,対照として用いた乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンと同等であった.
- 3. 補体共存下の殺菌効果10)
本剤はFc部分を完全に保持しているため,補体の正常な活性化能を有する.補体共存下における大腸菌の殺菌効果は乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンと同等であった.
- 4. 血小板減少抑制効果11)
抗血小板抗体を投与したラットの血小板減少に対する抑制効果は乾燥ポリエチレングリコール処理人免疫グロブリンと同等であった. 本効果については,(1)網内系に負担をかけ血小板の取り込みを阻止する,(2)抗血小板抗体など自己抗体を含めた抗体産生を抑制する,などが作用機序として考えられる.
- 5. マウス川崎病様心動脈炎に対する効果12)
LCWE(Lactobacillus caseiから抽出したcell wall extract)誘導性マウス川崎病様心動脈炎に対し,同種IgGは抑制効果を示した.
- 6. 筋炎に対する効果13)
C protein誘導型マウス筋炎モデルにおいて,プレドニゾロンとの併用により筋組織への炎症細胞浸潤が抑制された.
- **7. 実験的重症筋無力症に対する効果14)
- 本剤投与により,ラット実験的自己免疫性重症筋無力症モデルにおいて,歩行機能の低下を改善した.
取扱い上の注意
記録の保存:本剤は特定生物由来製品に該当することから,本剤を投与した場合は,医薬品名(販売名),その製造番号(ロット番号),投与した日,投与を受けた患者の氏名,住所等を記録し,少なくとも20年間保存すること.
承認条件
1. 川崎病 急性期川崎病治療における2,000mg/kg体重1回投与での副作用発現,臨床効果等に関するデータを収集する目的で,適切な市販後調査を実施すること.
2. 多発性筋炎・皮膚筋炎 多発性筋炎・皮膚筋炎における筋力低下の改善について,国内での治験症例が極めて限られていることから,製造販売後,一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は,原則として全症例を対象に使用成績調査を実施することにより,本剤使用患者の背景情報を把握するとともに,本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し,本剤の適正使用に必要な措置を講じること.
**3. 全身型重症筋無力症 全身型重症筋無力症について,国内での治験症例が極めて限られていることから,製造販売後,一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は,原則として全症例を対象に使用成績調査を実施することにより,本剤使用患者の背景情報を把握するとともに,本剤の安全性及び有効性に関するデータを早期に収集し,本剤の適正使用に必要な措置を講じること.
包装
献血ヴェノグロブリン5%静注0.5g/10mL 10mL 1瓶
献血ヴェノグロブリン5%静注1g/20mL 20mL 1瓶
献血ヴェノグロブリン5%静注2.5g/50mL 50mL 1瓶
献血ヴェノグロブリン5%静注5g/100mL 100mL 1瓶
主要文献及び文献請求先
主要文献
- 1) 兵頭行夫 他:基礎と臨床 1990;24(3):1273-1282
- 2) Liese J.G,et al.:Am J Dis Child 1992;146(3):335-339
- 3) 正岡 徹 他:日本化学療法学会雑誌 2000;48(3):199-217
- 4) 安永幸二郎 他:基礎と臨床 1990;24(3):1295-1301
- 5) 森川良行 他:Acta Paediatrica Japonica 1994;36:347-354
- 6) Newburger JW,et al.:N.Engl.J.Med. 1991;324(23):1633-1639
- 7) (株)ベネシス:社内資料(筋炎患者における二重盲検比較試験)
- **8) (株)ベネシス:社内資料(全身型重症筋無力症患者における 無作為化比較試験)
- 9) 土居卓治 他:基礎と臨床 1991;25(13):3999-4004
- 10) 中島常隆 他:基礎と臨床 1991;25(13):4005-4009
- 11) 中島常隆 他:基礎と臨床 1991;25(13):4011-4013
- 12) 沖津祥子 他:炎症 1996;16(6):395-402
- 13) (株)ベネシス:社内資料(マウス筋炎モデル)
- **14) (株)ベネシス:社内資料(重症筋無力症モデル)
文献請求先
主要文献に記載の社内資料につきましても下記にご請求下さい.
株式会社ベネシス くすり相談室
〒541-8505 大阪市中央区北浜2-6-18
電話0120-133-189
製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
- 販売
田辺三菱製薬株式会社
大阪市中央区北浜2-6-18
- 製造販売元
株式会社ベネシス
大阪市中央区北浜2-6-18
その他の説明(付属機器の取り扱い等)
この製品は献血血液から製造されています.
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