作成又は改訂年月
0.1~5%未満
発疹、そう痒
0.1~5%未満
AST(GOT)、ALT(GPT)、AL-P、LDH、γ-GTPの上昇
0.1~5%未満
好酸球増多
0.1~5%未満
便秘、下痢、口渇、腹部膨満感
0.1%未満
悪心、嘔吐、食欲不振、腹痛、カンジダ症、味覚異常
頻度不明
口内炎、舌炎、大腸炎注4)
0.1~5%未満
頭痛、眠気
0.1%未満
うつ状態、不眠、めまい、振戦
0.1~5%未満
発熱、総コレステロール、尿酸の上昇
0.1%未満
女性化乳房注2)、浮腫、倦怠感、舌・口唇のしびれ感、四肢のしびれ感、筋肉痛、脱毛
頻度不明
かすみ目、脱力感、関節痛
13.7%
軟便
9.1%
下痢
1~5%未満
味覚異常、腹部膨満感
1%未満
悪心、嘔吐、腹痛、便秘、口内炎、舌炎、口渇、胸やけ、胃食道逆流、食欲不振
1~5%未満
AST(GOT)、ALT(GPT)、AL-P、LDH、γ-GTP、ビリルビンの上昇
1~5%未満
好中球減少、好酸球増多、白血球増多、貧血
1%未満
血小板減少
1~5%未満
発疹
1%未満
そう痒
1%未満
頭痛、眠気、めまい、不眠、しびれ感、うつ状態
1~5%未満
トリグリセライド、尿酸の上昇、総コレステロールの上昇・低下、尿蛋白陽性、尿糖陽性
1%未満
倦怠感
13.2%
下痢
8.7%
味覚異常
1~5%未満
悪心、嘔吐、口内炎、腹痛、排便回数増加
1~5%未満
AST(GOT)、ALT(GPT)の上昇
1~5%未満
発疹
1~5%未満
頭痛、めまい
その他の副作用の注意
*胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群、非びらん性胃食道逆流症、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制の場合の発現頻度は承認時までの臨床試験及び製造販売後調査の結果に基づく。
ヘリコバクター・ピロリ除菌の補助の場合の頻度表示は胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるランソプラゾール、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与の試験成績に基づく。
注2)このような場合には投与を中止すること。
注3)観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。
注4)下痢が継続する場合、内視鏡検査では腸管粘膜に異常を認めないが、組織学的に大腸粘膜下に膠原線維束の肥厚や炎症細胞の浸潤を伴う大腸炎が発現している可能性があるため、速やかに本剤の投与を中止すること。
外国で行われた試験で認められている副作用の頻度表示は胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるランソプラゾール、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシン又はメトロニダゾールの3剤投与の試験成績に基づく。
高齢者への投与
一般に高齢者では酸分泌能は低下しており、その他生理機能の低下もあるので低用量から投与を開始するなど慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1.
妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には治療上の有益性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること。 [動物試験(ラット)において胎児血漿中濃度は母動物の血漿中濃度より高いことが認められている。1)また、ウサギ(経口30mg/kg/日)で胎児死亡率の増加が認められている。2)なお、ラットにランソプラゾール(50mg/kg/日)、アモキシシリン水和物(500mg/kg/日)及びクラリスロマイシン(160mg/kg/日)を併用投与した試験で、母動物での毒性の増強とともに胎児の発育抑制の増強が認められている。]
2.
授乳中の婦人への投与は避けることが望ましいが、やむを得ず投与する場合は、授乳を避けさせること。 [動物試験(ラット)で母乳中へ移行することが報告されている。1)]
小児等への投与
小児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)。
適用上の注意
薬剤交付時
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。[PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。]
その他の注意
1.
類薬(オメプラゾール)で、視力障害が発現したとの報告がある。
2.
ラットに52週間強制経口投与した試験で、50mg/kg/日群(臨床用量の約100倍)において1例に良性の精巣間細胞腫が認められている。3)さらに、24ヵ月間強制経口投与した試験で、15mg/kg/日以上の群において良性の精巣間細胞腫の発生増加が、また、5mg/kg/日以上の群において胃のカルチノイド腫瘍が認められており、加えて、雌ラットの15mg/kg/日以上及び雄ラットの50mg/kg/日以上の群において網膜萎縮の発生頻度の増加が認められている。 精巣間細胞腫及び網膜萎縮については、マウスのがん原性試験、イヌ、サルの毒性試験では認められず、ラットに特有な変化と考えられる。
3.
ラットにランソプラゾール(15mg/kg/日以上)、アモキシシリン水和物(2,000mg/kg/日)を4週間併用経口投与した試験、及びイヌにランソプラゾール(100mg/kg/日)、アモキシシリン水和物(500mg/kg/日)、クラリスロマイシン(25mg/kg/日)を4週間併用経口投与した試験で、アモキシシリン水和物を単独あるいは併用投与した動物に結晶尿が認められているが、結晶はアモキシシリン水和物が排尿後に析出したものであり、体内で析出したものではないことが確認されている。
4.
本剤の投与が胃癌による症状を隠ぺいすることがあるので、悪性でないことを確認のうえ投与すること。
5.
長期投与における安全性は確立していない(本邦においては長期投与の経験は十分でない)。
6.
非びらん性胃食道逆流症の治療において、食道内酸逆流の高リスクである中高齢者、肥満者、裂孔ヘルニア所見ありのいずれにも該当しない場合には本剤の治療効果が得られにくいことが臨床試験により示されている。
7.
*低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発リスクは、ヘリコバクター・ピロリ感染陽性及び加齢により高まる可能性のあることが臨床試験により示唆されている。
8.
ヘリコバクター・ピロリの除菌判定上の注意 : ランソプラゾール等のプロトンポンプインヒビターやアモキシシリン水和物、クラリスロマイシン等の抗生物質及びメトロニダゾールの服用中や投与終了直後では、13C-尿素呼気試験の判定結果が偽陰性になる可能性があるため、13C-尿素呼気試験による除菌判定を行う場合には、これらの薬剤の投与終了後4週以降の時点で実施することが望ましい。
薬物動態
1.
血中濃度
本剤のバイオアベイラビリティには個体間で差が認められる。健康成人(6例)に1回30mg(1号カプセル)をクロスオーバー法にて絶食下又は食後に、また、別の健康成人(6例)に1回15mgを絶食下に経口投与した場合、血中にはランソプラゾールの未変化体が主として検出され、他に代謝物も検出される。1回30mgを経口投与した場合の未変化体の血中濃度は図及び表1のとおりであり、個体間で差がみられている。 4)また、本剤とスクラルファート、又は水酸化アルミニウムゲル・水酸化マグネシウムを同時に服用すると、本剤の血中濃度が低下することが外国で報告されている。 5)なお、本剤の代謝型がEM(Extensive Metabolizer)の健康成人(48例)に、1回30mg(3号カプセルあるいは1号カプセル)をクロスオーバー法にて絶食下に経口投与した場合の薬物動態学的パラメータは表2のとおりであり、3号カプセルと1号カプセルは生物学的に同等であることが確認されている。
2.
尿中排泄 4)
健康成人(6例)に1回30mgを絶食下又は食後に、また、1回15mgを絶食下に経口投与した場合、尿中にはランソプラゾールの未変化体は検出されず、すべて代謝物であり、投与後24時間までの尿中排泄率は13.1~23.0%である。
3.
反復投与時の薬物動態 4)
健康成人(6例)に1回30mg又は15mgを1日1回7日間朝絶食下に反復経口投与した時の血中濃度の推移、尿中排泄率からみて、体内蓄積性はないものと考えられる。
4.
ランソプラゾール、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシン併用時の薬物動態
健康成人(6例)にランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回400mg(力価)の3剤を同時に経口投与した場合注5)、ランソプラゾールの未変化体の薬物動態学的パラメータは表3のとおりである。 なお、3剤投与時の3剤各々の血中濃度は単独投与時の血中濃度とほぼ同様の推移を示す。 また、健康成人(7例)に3剤を同様の用量で同時に1日2回7日間反復経口投与した時の薬物動態からみて、蓄積性に問題はないと考えられる。
注5)ヘリコバクター・ピロリ感染に対する承認用法・用量と異なる。(【用法・用量】の項参照)
表1 1回30mg又は15mg経口投与時の薬物動態学的パラメータ
投与量 |
30mg(クロスオーバー法) |
30mg(クロスオーバー法) |
15mg |
投与条件 |
絶食下 |
食後 |
絶食下 |
Tmax(h) |
2.2±0.4 |
3.5±0.8 |
2.2±0.8 |
Cmax(ng/mL) |
1,038±323 |
679±359 |
530±267 |
T1/2(h) |
1.44±0.94 |
1.60±0.90 |
1.37±1.09 |
AUC(ng・h/mL) |
3,890±2,484 |
3,319±2,651 |
2,183±2,195 |
6例の平均値±標準偏差
表2 1回30mg(3号あるいは1号カプセル)経口投与時の薬物動態学的パラメータ
投与量 |
30mg(クロスオーバー法) |
30mg(クロスオーバー法) |
投与製剤 |
3号カプセル |
1号カプセル |
Cmax(ng/mL) |
907±334 |
1,022±442 |
AUC(ng・h/mL) |
2,444±1,080 |
2,475±1,241 |
48例の平均値±標準偏差
表3 3剤投与時のランソプラゾール未変化体の薬物動態学的パラメータ
|
絶食下 |
Tmax |
1.7±0.5h |
Cmax |
1,104±481ng/mL |
T1/2 |
1.88±1.88h |
AUC |
5,218±6,284ng・h/mL |
6例の平均値±標準偏差
臨床成績
1.
臨床効果 6~28)
(1)
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、吻合部潰瘍、逆流性食道炎、Zollinger-Ellison症候群
上記患者を対象に、1日1回30mgを一般臨床試験では主として2~8週間、二重盲検比較対照試験では8週間(胃潰瘍)及び6週間(十二指腸潰瘍)経口投与した臨床試験において、最終内視鏡判定が行われた1,137例の疾患別治癒率は表4のとおりである。 なお、胃潰瘍及び十二指腸潰瘍患者を対象とした二重盲検比較対照試験の結果、本剤の有用性が認められている。 また、1日1回30mgを8週間経口投与することにより治癒と判定された逆流性食道炎の患者を対象に、さらに維持療法として1日1回15mgを24週間経口投与した二重盲検比較対照試験の結果、本剤の有用性が確認されている。
(2)
非びらん性胃食道逆流症
非びらん性胃食道逆流症患者を対象に、1日1回15 mgを経口投与した二重盲検比較対照試験の結果、投与開始後4週間での胸やけの無症状日数の割合(中央値)は本剤投与群で67.9%(69例)、プラセボ群で42.9%(72例)である。 なお、食道内酸逆流の高リスクである中高齢者、肥満者、裂孔ヘルニア所見ありのいずれにも該当しない患者における投与開始後4週間での胸やけの無症状日数の割合(中央値)は、本剤投与群で37.5%(20例)、プラセボ群で46.4%(24例)である。
(3)
* 低用量アスピリン投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制※
低用量アスピリン(1日81~324mg)の長期投与を必要とし、かつ胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有する患者を対象とした本剤群(1日1回15mg経口投与)と対照群との二重盲検比較対照試験の結果、中間解析時におけるKaplan-Meier法により推定した治療開始361日時点の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率は、本剤群9.5%(95%信頼区間:0.00~23.96)、対照群57.7%(95%信頼区間:29.33~85.98)であり、対照群に対するハザード比は0.0793(95%信頼区間:0.0239~0.2631)(logrank検定:p<0.00001)であった。また、最終解析時におけるKaplan-Meier法により推定した治療開始361日時点の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率は、本剤群3.7%(95%信頼区間:0.69~6.65)、対照群31.7%(95%信頼区間:23.86~39.57)であり、対照群に対するハザード比は0.0989(95%信頼区間:0.0425~0.2300)(logrank検定:p<0.0001)であった 図 最終解析時におけるKaplan-Meier法による胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率。 さらに、上記試験後非盲検下で本剤を継続して、あるいは、対照群を本剤に切り替えて、1日1回15mgを24週間経口投与した長期継続投与試験において、胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の発症は認められなかった。 ※非ステロイド性抗炎症薬長期投与時の試験成績は含まれていない。
(4)
** 非ステロイド性抗炎症薬投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制
関節リウマチ、変形性関節症等の疼痛管理のために、非ステロイド性抗炎症薬の長期投与を必要とし、かつ胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の既往歴を有する患者を対象とした本剤群(1日1回15mg経口投与)と対照群との二重盲検比較対照試験の結果、Kaplan-Meier法により推定した治療開始361日時点の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率は、本剤群12.7%(95%信頼区間:5.85~19.59)、対照群36.9%(95%信頼区間:27.51~46.35)であり、対照群に対するハザード比は0.2510(95%信頼区間:0.1400~0.4499)(logrank検定:p<0.0001)であった。 図 Kaplan-Meier法による胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率 さらに、上記試験後非盲検下で本剤を継続して、1日1回15mgを24週間経口投与した長期継続投与試験の結果、Kaplan-Meier法により推定した胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の累積発症率 ※は、二重盲検比較対照試験の治療開始361日時点で14.4%(95%信頼区間:7.89~20.85)、631日時点で19.6%(95%信頼区間:11.10~28.05)であった。 ※二重盲検比較対照試験における本剤群のうち長期継続投与試験に移行しなかった患者、及び二重盲検比較対照試験における本剤群のうち長期継続投与試験に移行した患者を合算して算出した。
(5)
胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ感染
ヘリコバクター・ピロリ陽性の胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の患者を対象とした除菌の臨床試験(ランソプラゾール、アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンの3剤投与)における除菌※率は表5、表6のとおりである。 ※培養法及び組織診断法の結果がいずれも陰性。
なお、米国及び英国で行われたヘリコバクター・ピロリ陽性の十二指腸潰瘍等に対する除菌の臨床試験注6)においても、同程度の成績が認められている。
注6)各薬剤の投与量、投与期間は下記とおりであり、国内の承認用法・用量と異なる。(【用法・用量】の項参照)
米国
ランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回500mg(力価)の3剤を1日2回、10日間又は14日間経口投与
英国
ランソプラゾールとして1回30mg、アモキシシリン水和物として1回1,000mg(力価)及びクラリスロマイシンとして1回250mg(力価)の3剤を1日2回、7日間経口投与
2.
血清ガストリン、内分泌機能、胃粘膜の内分泌細胞に及ぼす影響 24~26)
(1)
1日1回30mgを、胃潰瘍患者には8週間、十二指腸潰瘍患者には6週間経口投与した場合、血清ガストリン値の有意な上昇が認められるが、投与終了4週後に回復する。
(2)
胃潰瘍及び十二指腸潰瘍患者に1日1回30mgを8週間経口投与した場合、プロラクチン、コルチゾール、GH、TSH、T3、T4、LH、FSH、DHEA-S、テストステロン、エストラジオールに殆ど影響を及ぼさない。
(3)
胃潰瘍及び十二指腸潰瘍患者に1日1回30mgを8週間経口投与した場合、胃粘膜の内分泌細胞密度に影響を及ぼさない。
表4 疾患別治癒率
疾患名 |
例数 |
治癒例数(治癒率) |
胃潰瘍 |
604 |
535(88.6) |
十二指腸潰瘍 |
445 |
418(93.9) |
吻合部潰瘍 |
19 |
17(89.5) |
逆流性食道炎 |
66 |
61(92.4) |
Zollinger-Ellison症候群 |
3 |
3(100) |
計 |
1,137 |
1,034(90.9) |
数字は例数、( )内は%
表5 胃潰瘍における除菌率(7日間経口投与)
各薬剤の1回投与量 |
投与回数 |
除菌率 |
ランソプラゾール 30mg アモキシシリン水和物 750mg(力価) クラリスロマイシン 200mg(力価) |
2回/日 |
87.5% (84/96例) |
ランソプラゾール 30mg アモキシシリン水和物 750mg(力価) クラリスロマイシン 400mg(力価) |
2回/日 |
89.2% (83/93例) |
除菌率は基本解析対象集団を対象とした。
表6 十二指腸潰瘍における除菌率(7日間経口投与)
各薬剤の1回投与量 |
投与回数 |
除菌率 |
ランソプラゾール 30mg アモキシシリン水和物 750mg(力価) クラリスロマイシン 200mg(力価) |
2回/日 |
91.1% (82/90例) |
ランソプラゾール 30mg アモキシシリン水和物 750mg(力価) クラリスロマイシン 400mg(力価) |
2回/日 |
83.7% (82/98例) |
除菌率は基本解析対象集団を対象とした。
薬効薬理
1.
作用機序 29~32)
本剤は胃粘膜壁細胞の酸生成部位へ移行した後、酸による転移反応を経て活性体へと構造変換され、この酸転移生成物が酸生成部位に局在してプロトンポンプとしての役割を担っているH+, K+-ATPaseのSH基と結合し、酵素活性を抑制することにより、酸分泌を抑制すると考えられる。
2.
胃酸分泌抑制作用 4,20,33~38)
(1)
ペンタガストリン刺激分泌
健康成人への1日1回30mg単回並びに7日間経口投与により著明な胃酸分泌抑制作用が認められ、この作用は投与24時間後も持続する。
(2)
インスリン刺激分泌
健康成人への1日1回30mg7日間経口投与により著明な胃酸分泌抑制作用が認められる。
(3)
夜間分泌
健康成人への1日1回30mg7日間経口投与により胃酸分泌の明らかな抑制が認められる。
(4)
24時間分泌
健康成人における24時間胃液採取試験で、1日1回30mg7日間経口投与により1日を通して胃酸分泌の著明な抑制が認められる。
(5)
24時間胃内pHモニタリング
健康成人及び十二指腸潰瘍瘢痕期の患者への1日1回30mg7日間経口投与により、1日を通して著明な胃酸分泌抑制作用が認められる。
(6)
24時間下部食道内pHモニタリング
逆流性食道炎患者への1日1回30mg7~9日間経口投与により胃食道逆流現象の著明な抑制作用が認められる。
3.
ヘリコバクター・ピロリ除菌の補助作用
(1)
アモキシシリン水和物及びクラリスロマイシンともにランソプラゾールとの併用により、経口投与後の胃組織中濃度の上昇が認められる(ラット)。
(2)
ヘリコバクター・ピロリ除菌治療におけるランソプラゾールの役割は胃内pHを上昇させることにより、併用されるアモキシシリン水和物、クラリスロマイシンの抗菌活性を高めることにあると考えられる。
有効成分に関する理化学的知見
化学構造式
一般名
ランソプラゾール(Lansoprazole)〔JAN〕
化学名
(RS)-2-({[3-Methyl-4-(2,2,2-trifluoroethoxy)-2-pyridyl]methyl}sulfinyl)benzimidazole
分子式
C16H14F3N3O2S
分子量
369.36
融点
約166℃(分解)
性状
ランソプラゾールは白色~帯褐白色の結晶性の粉末である。N,N-ジメチルホルムアミドに溶けやすく、メタノールにやや溶けやすく、エタノール(99.5)にやや溶けにくく、ジエチルエーテルに極めて溶けにくく、水にほとんど溶けない。
包装
カプセル15 : 100カプセル(10カプセル×10)、140カプセル(14カプセル×10)、500カプセル(バラ、10カプセル×50)、700カプセル(14カプセル×50)
カプセル30 : 100カプセル(10カプセル×10)、300カプセル(10カプセル×30)、500カプセル(バラ、10カプセル×50)、700カプセル(14カプセル×50)
主要文献及び文献請求先
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木平 健 他 : 日本消化器病学会雑誌,88 : 672,1991.
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