エフィエント錠3.75mg/エフィエント錠5mg -------------------------------------------------------------------------------- 作成又は改訂年月
*2014年5月改訂(第2版)
2014年3月作成
日本標準商品分類番号
873399
日本標準商品分類番号等
国際誕生年月 2009年2月
薬効分類名
抗血小板剤
承認等
販売名 エフィエント錠3.75mg
販売名コード
3399009F1020
承認・許可番号
承認番号 22600AMX00554 商標名 EFIENT TABLETS
薬価基準収載年月
*2014年5月
販売開始年月
*2014年5月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
規制区分
処方せん医薬品※
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1錠中に次の成分を含有
有効成分
プラスグレル塩酸塩 4.12mg (プラスグレルとして3.75mg)
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、三二酸化鉄
性状
剤形
フィルムコーティング錠 (楕円形)
色
微赤白色
外形
大きさ (mm)
7.3 (長径) 5.1 (短径)
厚さ (mm)
約3.2
重さ (mg)
約107.5
販売名 エフィエント錠5mg
販売名コード
3399009F2026
承認・許可番号
承認番号 22600AMX00555 商標名 EFIENT TABLETS
薬価基準収載年月
*2014年5月
販売開始年月
*2014年5月
貯法・使用期限等
貯法
室温保存
使用期限
包装に表示の使用期限内に使用すること。
規制区分
処方せん医薬品※
※注意-医師等の処方せんにより使用すること
組成
1錠中に次の成分を含有
有効成分
プラスグレル塩酸塩5.49mg (プラスグレルとして5mg)
添加物
乳糖水和物、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、酸化チタン、タルク、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄
性状
剤形
フィルムコーティング錠 (楕円形・割線入)
色
微黄赤色
外形
大きさ (mm)
8.7(長径) 4.7(短径)
厚さ (mm)
約2.9
重さ (mg)
約107.5
一般的名称
プラスグレ
禁忌
(次の患者には投与しないこと)
1. 出血している患者(血友病、頭蓋内出血、消化管出血、尿路出血、喀血、硝子体出血等)[出血を助長するおそれがある。]
2. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
ル塩酸塩錠
効能又は効果
効能又は効果/用法及び用量
経皮的冠動脈形成術(PCI)が適用される下記の虚血性心疾患
急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞) 安定狭心症、陳旧性心筋梗塞
効能又は効果に関連する使用上の注意
PCIが適用予定の虚血性心疾患患者への投与は可能である。 冠動脈造影により、保存的治療あるいは冠動脈バイパス術が選択され、PCIを適用しない場合には、以後の投与を控えること。
用法及び用量
通常、成人には、投与開始日にプラスグレルとして20mgを1日1回経口投与し、その後、維持用量として1日1回3.75mgを経口投与する。
用法及び用量に関連する使用上の注意
1. アスピリン(81~100mg/日、なお初回負荷投与では324mgまで)と併用すること。
2. ステント留置患者への本剤投与時には該当医療機器の添付文書を必ず参照すること。
3. PCI施行前に本剤3.75mgを5日間程度投与されている場合、初回負荷投与(投与開始日に20mgを投与すること)は必須ではない。(本剤による血小板凝集抑制作用は5日間で定常状態に達することが想定される。)
4. 空腹時の投与は避けることが望ましい(初回負荷投与を除く)。 (「薬物動態」、「臨床成績」の項参照)
使用上の注意
慎重投与 (次の患者には慎重に投与すること)
1. 出血傾向及びその素因のある患者(頭蓋内出血の既往のある患者) [出血を生じるおそれがある。]
2. 高度の肝機能障害のある患者 [凝固因子の産生が低下していることがあるので、出血の危険性が増大するおそれがある。]
3. 高度の腎機能障害のある患者 [出血の危険性が増大するおそれがある。]
4. 高血圧が持続している患者(「重要な基本的注意」の項参照)
5. 高齢者 [出血の危険性が増大するおそれがある(「高齢者への投与」の項参照)。]
6. 低体重の患者 [出血の危険性が増大するおそれがある。なお、体重50kg以下の患者では、年齢、腎機能等の他の出血リスク因子及び血栓性イベントの発現リスクを評価した上で、必要に応じて維持用量1日1回2.5mgへの減量も考慮すること(「臨床成績」の項参照)。]
7. 脳梗塞又は一過性脳虚血発作(TIA)の既往歴のある患者 [海外臨床試験で、初回負荷用量60mg、維持用量10mg/日投与でアスピリンと併用した場合に、出血の危険性が増大したとの報告がある。] 注) 本剤の承認用量は初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日である。
8. 他のチエノピリジン系薬剤(クロピドグレル等)に対し過敏症の既往歴のある患者 [本剤投与後に血管浮腫を含む過敏症の発現が報告されている。]
重要な基本的注意
1. 初回負荷投与及びアスピリンとの併用によって出血のリスクが高まる可能性があることを十分考慮すること。
2. 冠動脈造影前に初回負荷投与を行う場合は、本剤の血小板凝集抑制作用による出血のリスクが高まるので、穿刺部位等からの出血に十分注意すること。 [非ST上昇心筋梗塞患者を対象とした海外臨床試験(ACCOAST試験1))において、初回負荷用量60mgをPCI施行時に単回投与した場合に比較し、冠動脈造影前(平均約4時間前)に30mg及びPCI施行時に30mgと分割投与した場合に、さらなる有効性は認められずPCI施行に関連した重大な出血リスクが増大したとの報告がある。] 注) 本剤の承認用量は初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日である。
3. 本剤による血小板凝集抑制が問題となるような手術の場合には、14日以上前に投与を中止することが望ましい(「臨床成績」の項参照)。なお、十分な休薬期間を設けることができない場合は重大な出血のリスクが高まることが報告されているので十分に観察すること。また、投与中止期間中の血栓症や塞栓症のリスクの高い症例では、適切な発症抑制策を講じること。手術後に本剤の再投与が必要な場合には、手術部位の止血を確認してから再開すること。
4. 高血圧が持続する患者への投与は慎重に行い、本剤投与中は十分な血圧コントロールを行うこと。
5. 経口抗凝固剤、アスピリン及び本剤を併用する場合には、出血のリスクが高まる可能性があるので十分注意すること。
6. 出血を起こす危険性が高いと考えられる場合には、中止等を考慮すること。また、出血を示唆する臨床症状が疑われた場合には、直ちに血球算定等の適切な検査を実施すること(「副作用」の項参照)。
7. 患者には通常よりも出血しやすくなることを説明し、異常な出血が認められた場合には医師に連絡するよう指導すること。また、他院(他科)を受診する際には、本剤を服用している旨を医師に必ず伝えるよう患者に指導すること。
8. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)等の重大な副作用が発現することがあるので、投与開始後2ヵ月間は、2週間に1回程度の血液検査等の実施を考慮すること(「副作用」の項参照)。
相互作用
併用注意
(併用に注意すること)
1. 薬剤名等 抗凝固剤 ワルファリン、ヘパリン、エドキサバン等 血小板凝集抑制作用を有する薬剤 アスピリン等 血栓溶解剤 ウロキナーゼ、アルテプラーゼ等
臨床症状・措置方法 これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがある。 併用する場合には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
機序・危険因子 相互に抗血栓作用を増強することが考えられる。
2. 薬剤名等 非ステロイド性消炎鎮痛剤 ロキソプロフェン、ナプロキセン等
臨床症状・措置方法 これらの薬剤との併用により、出血の危険性を増大させるおそれがある。 併用する場合には、患者の状態を十分に観察するなど注意すること。
機序・危険因子 相互に抗血栓作用を増強することが考えられる。
副作用
副作用等発現状況の概要
国内第III相臨床試験において、総症例1,055例中487例(46.2%)に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められた。主な副作用は、皮下出血109例(10.3%)、鼻出血72例(6.8%)、血尿58例(5.5%)、血管穿刺部位血腫44例(4.2%)及び皮下血腫41例(3.9%)等であった。 〔承認時〕
重大な副作用
1. 出血 頭蓋内出血(初期症状:頭痛、悪心・嘔吐、意識障害、片麻痺等)、消化管出血、心嚢内出血等の出血(1.2%)があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。 2. 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP) 頻度不明注) TTP(初期症状:倦怠感、食欲不振、紫斑等の出血症状、意識障害等の精神・神経症状、血小板減少、破砕赤血球の出現を認める溶血性貧血、発熱、腎機能障害等)が認められた場合には、直ちに投与を中止し、血液検査(網赤血球、破砕赤血球の同定を含む)を実施し、必要に応じ血漿交換等の適切な処置を行うこと。
3. 過敏症 頻度不明注) 血管浮腫を含む過敏症があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。
注)海外において認められている副作用のため頻度不明。
重大な副作用(類薬)
1. 肝機能障害、黄疸 2. 無顆粒球症、再生不良性貧血を含む汎血球減少症
他の抗血小板剤で以下の重大な副作用が報告されているので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。
その他の副作用
1. 血液 1%以上 貧血
2. 血液 0.1~1%未満 血小板数減少、好酸球数増加、白血球数減少
3. 出血傾向 1%以上 皮下出血(10.3%)、鼻出血、血尿、血管穿刺部位血腫、皮下血腫、穿刺部位出血、血腫、処置による出血、歯肉出血、便潜血、結膜出血、痔出血、創傷出血
4. 出血傾向 0.1~1%未満 喀血、胃腸出血、網膜出血、出血、上部消化管出血、口腔内出血、カテーテル留置部位出血、紫斑、硝子体出血、出血性腸憩室、下部消化管出血、点状出血、血管偽動脈瘤
5. 肝臓 1%以上 肝機能障害
6. 肝臓 0.1~1%未満 γ-GTP上昇、ALP上昇、ALT(GPT)上昇、AST(GOT)上昇
7. 腎臓 0.1~1%未満 腎機能障害
8. 精神神経系 0.1~1%未満 浮動性めまい
9. 消化器 0.1~1%未満 下痢、便秘、悪心・嘔吐、胃食道逆流性疾患、腹痛、腹部不快感、胃炎
10. 過敏症 1%以上 発疹
11. 過敏症 0.1~1%未満 紅斑
12. その他 0.1~1%未満 尿酸上昇、末梢性浮腫、背部痛、血管穿刺部位腫脹、血中甲状腺刺激ホルモン増加、狭心症
上記の副作用があらわれることがあるので、異常が認められた場合には必要に応じ適切な処置を行うこと。
注)海外において認められている副作用のため頻度不明。
高齢者への投与
一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。
妊婦、産婦、授乳婦等への投与
1. 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。 [妊娠中の投与に関する安全性は確立していない。動物実験(ラット)で胎児への移行が認められている。]
2. 授乳中の婦人には本剤投与中は授乳を避けさせること。 [動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが認められている。]
小児等への投与
低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない(使用経験がない)。
過量投与
本剤の過量投与により出血が生じるおそれがある。出血が認められた場合、適切な処置を行うこと。なお、特異的な解毒剤は知られていないので、緊急措置が必要な場合は血小板輸血を考慮すること。
適用上の注意
薬剤交付時:
PTP包装の薬剤はPTPシートから取り出して服用するよう指導すること。(PTPシートの誤飲により、硬い鋭角部が食道粘膜へ刺入し、更には穿孔をおこして縦隔洞炎等の重篤な合併症を併発することが報告されている。)
その他の注意
マウスに2年間経口投与した試験で、雄マウスの300mg/kg/日以上、雌マウスの100mg/kg/日以上の投与群で、肝腫瘍の発現増加が認められている。一方、ラットに2年間経口投与した試験では腫瘍の発生は認められていない。
薬物動態
1. 血漿中濃度 プラスグレルは経口投与後に速やかに代謝されるため、血漿中に本剤の未変化体は検出されず、活性代謝物R-138727の血漿中濃度を測定した。
(1) 健康成人2) 健康成人に、投与1日目にプラスグレル20mg及び投与2~7日目にプラスグレル3.75mgを1日1回経口投与したときの活性代謝物R-138727の血漿中濃度推移及び薬物動態パラメータは次のとおりであった。 20mg投与時(投与1日目)の活性代謝物R-138727の血漿中濃度推移
3.75mg投与時(投与7日目)の活性代謝物R-138727の血漿中濃度推移
(表1参照)
(2) 腎機能障害患者3) 中等度腎機能障害患者(クレアチニンクリアランス30~50mL/min)にプラスグレル60mgを単回経口投与したときの活性代謝物R-138727の薬物動態は、健康成人と比較して差は認められなかった。透析を必要とする末期腎機能障害患者では、健康成人と比較して活性代謝物R-138727のAUCが約31~47%及びCmaxが約20~52%低下した。 (外国人データ)
(3) 肝機能障害患者4) 中等度肝機能障害患者(Child-Pugh分類B)に、投与1日目にプラスグレル60mg及び投与2~6日目にプラスグレル10mgを1日1回経口投与したときの活性代謝物R-138727の薬物動態は、健康成人と比較して差は認められなかった。 (外国人データ)
(4) 高齢者2) 高齢者(75歳以上)に、投与1日目にプラスグレル20mg及び投与2~7日目にプラスグレル3.75mgを1日1回経口投与したときの活性代謝物R-138727の薬物動態は、非高齢者と比較して差は認められなかった。
2. 分布 参考(動物実験) ラットに14C-プラスグレルを単回経口投与した場合、組織中放射能濃度は多くの組織で投与1時間後に最高値を示し、胃、小腸、肝臓、腎臓及び膀胱では血液中よりも高い放射能濃度を認めた。これらに加え、投与72時間後では甲状腺及び大動脈でも血液中よりも高い放射能濃度を認めた。その他の組織では、血液中と同程度かそれ以下であった。また、反復投与した場合、投与14日目には組織への分布がほぼ定常状態に達した。
3. 代謝 経口投与されたプラスグレル塩酸塩は、小腸細胞でヒトカルボキシルエステラーゼにより速やかにR-95913に代謝され、さらに小腸及び肝臓の薬物代謝酵素チトクロームP450(CYP)により代謝され、活性代謝物であるR-138727が生成する。in vitro 試験からR-138727への代謝には、CYP3A及びCYP2B6が主たる酵素として関与することが示唆されている。
4. 排泄 健康成人男性に14C-プラスグレル15mgを単回経口投与した場合、投与240時間以内に放射能の累積排泄率は95%以上に達し、放射能の約68%が尿中から、約27%が糞中から排泄された。 (外国人データ)
5. 食事の影響 健康成人男性にプラスグレル20mgを単回経口投与したときの活性代謝物R-138727の薬物動態は、空腹時では食後投与と比較してCmaxが約3.3倍に増加したが、AUCに顕著な差は認められなかった。 6. 薬物相互作用 プラスグレル塩酸塩とCYP3A4阻害剤であるケトコナゾールを併用投与した場合の活性代謝物R-138727の薬物動態は、プラスグレル塩酸塩単独投与と比較してCmaxが初回負荷用量(60mg)投与時で約46%及び維持用量(15mg)投与時で約34%低下したが、AUC0-24hへの影響は認められなかった。また、血小板凝集抑制率(20μM ADP惹起)は初回負荷用量及び維持用量投与時のいずれもケトコナゾールの併用による影響を受けなかった。CYP3A4の誘導剤であるリファンピシンの前投与は、R-138727の曝露に影響を及ぼさなかった。 プロトンポンプ阻害剤であるランソプラゾールと併用した場合及びH2受容体拮抗剤であるラニチジンと併用した場合、プラスグレル塩酸塩単独投与と比較してR-138727のCmaxがプラスグレル60mg投与時で約14~29%低下したが、AUCへの影響は認められなかった。また、血小板凝集抑制作用(血小板活性化の抑制)は併用による影響を受けなかった5,6)。 (外国人データ)
注) 本剤の承認用量は初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日である。
表1
活性代謝物R-138727の薬物動態パラメータ
投与量 |
n |
Cmax (ng/mL) |
Tmax (hr) |
AUClast (ng・hr/mL) |
t1/2 (hr) |
20mg (投与1日目) |
23 |
177.1±96.3 |
0.6±0.2 |
185.1±66.5 |
4.9±5.8 |
3.75mg (投与7日目) |
23 |
29.2±15.5 |
0.6±0.4 |
26.3±9.2 |
0.9±0.4 |
mean±SD
臨床成績
1. 国内臨床成績
(1) 急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)7) PCIが適用される予定の急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)患者1,385例を対象とした国内第III相臨床試験における投与24週後までの主要心血管イベントの発現率は次のとおりであった。 (表2参照)
冠動脈バイパス術(CABG)に関連しない、大出血及び小出血の発現率は、プラスグレル群で5.7%(39/685例)、クロピドグレル群で4.3%(29/678例)であった。このうち、PCIの合併症の発現率は、プラスグレル群で2.8%(19/685例)、クロピドグレル群で1.8%(12/678例)であった。 CABGに関連しない、大出血、小出血及び臨床的に重要な出血の発現率は、プラスグレル群で9.6%(66/685例)、クロピドグレル群で9.6%(65/678例)であった。なお、投与終了後14日以内にCABGが施行された患者での、大出血、小出血及び臨床的に重要な出血は、プラスグレル群で10例中9例に、クロピドグレル群で9例中7例に発現した。 なお、初回負荷投与を除き、原則食後投与であった。
(2) 安定狭心症、陳旧性心筋梗塞8) 安定狭心症、陳旧性心筋梗塞患者774例を対象とした国内第III相臨床試験における投与24週後までの主要心血管イベントの発現率は次のとおりであった。
(表3参照)
CABGに関連しない、大出血、小出血及び臨床的に重要な出血の発現率は、プラスグレル群で5.4%(20/370例)、クロピドグレル群で6.2%(23/372例)であった。なお、投与終了後14日以内にCABGが施行された患者での、大出血、小出血及び臨床的に重要な出血は、プラスグレル群で3例中3例に、クロピドグレル群で1例中1例に発現した。 なお、初回負荷投与を除き、原則食後投与であった。 また、国内第II相臨床試験における高齢(75歳以上)又は低体重(50kg以下)の患者での投与12週後までの主要心血管イベント(全死亡、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、再入院を要する心筋虚血及び血行再建術の複合エンドポイント)の発現率は、プラスグレル2.5mg群a)で5.4%(2/37例)、プラスグレル3.75mg群b)で10.8%(4/37例)、クロピドグレル群c,d)で11.1%(4/36例)であった。 CABGに関連しない、大出血及び小出血の発現率は、プラスグレル2.5mg群で0%(0/37例)、プラスグレル3.75mg群で2.7%(1/37例)、クロピドグレル群で2.8%(1/36例)であった。 a)アスピリン81~100mg/日を併用し、プラスグレルを初回負荷用量20mg、維持用量2.5mg/日 b)アスピリン81~100mg/日を併用し、プラスグレルを初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日 c)アスピリン81~100mg/日を併用し、クロピドグレルを初回負荷用量300mg、維持用量75mg/日 d)参考として設定した群であり、統計学的な比較対照群ではない。
2. 海外臨床成績9) PCIが適用される予定の急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)患者13,619例を対象とした海外第III相臨床試験における主要心血管イベントの発現率は次のとおりであった。
(表4参照)
CABGに関連しない、大出血及び小出血の発現率は、プラスグレル群で4.49%(303/6,741例)、クロピドグレル群で3.44%(231/6,716例)であった。なお、CABGが施行された患者での大出血の発現率は、プラスグレル群で11.27%(24/213例)、クロピドグレル群で3.57%(8/224例)であった。 注)本剤の承認用量は初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日である。
表2 PCI適用予定の急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)患者における投与24週後までの主要心血管イベントa)の発現率(国内第III相臨床試験)
プラスグレル群b) |
クロピドグレル群c) |
ハザード比 (95%信頼区間) |
発現率(例数) |
9.3%(64/685) |
11.8%(80/678) |
0.773(0.557,1.074) |
a)心血管死、非致死性心筋梗塞及び非致死性虚血性脳卒中の複合エンドポイント b)アスピリン81~100mg/日を併用し、プラスグレルを初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日 c)アスピリン81~100mg/日を併用し、クロピドグレルを初回負荷用量300mg、維持用量75mg/日
表3 安定狭心症、陳旧性心筋梗塞患者における投与24週後までの主要心血管イベントa)の発現率(国内第III相臨床試験)
プラスグレル群b) |
クロピドグレル群c,d) |
発現率(例数) |
4.1%(15/370) |
6.7%(25/372) |
a)心血管死、非致死性心筋梗塞及び非致死性虚血性脳卒中の複合エンドポイント b)アスピリン81~100mg/日を併用し、プラスグレルを初回負荷用量20mg、維持用量3.75mg/日又は初回負荷投与せずに維持用量3.75mg/日 c)アスピリン81~100mg/日を併用し、クロピドグレルを初回負荷用量300mg、維持用量75mg/日又は初回負荷投与せずに維持用量75mg/日 d)参考として設定した群であり、統計学的な比較対照群ではない。
表4 PCI適用予定の急性冠症候群(不安定狭心症、非ST上昇心筋梗塞、ST上昇心筋梗塞)患者における主要心血管イベントa)の発現率(海外第III相臨床試験)
発現率(例数) プラスグレル群b) クロピドグレル群c) |
ハザード比 (95%信頼区間) |
p値d) |
急性冠症候群全体 |
9.44%(643/6,813) 11.49%(781/6,795) |
0.812 (0.732,0.902) |
p<0.001 |
不安定狭心症、 非ST上昇心筋梗塞 |
9.30%(469/5,044) 11.23%(565/5,030) |
0.820 (0.726,0.927) |
p=0.002 |
ST上昇心筋梗塞 |
9.84%(174/1,769) 12.24%(216/1,765) |
0.739 (0.649,0.968) |
p=0.019 |
a)心血管死、非致死性心筋梗塞及び非致死性脳卒中の複合エンドポイント b)アスピリン75~325mg/日を併用し、プラスグレルを初回負荷用量60mg、維持用量10mg/日を6~15ヵ月間投与した。 c)アスピリン75~325mg/日を併用し、クロピドグレルを初回負荷用量300mg、維持用量75mg/日を6~15ヵ月間投与した。 d)Gehan-Wilcoxon検定。最初に不安定狭心症/非ST上昇心筋梗塞患者を対象とした解析を実施し、プラスグレルの優越性が検証された場合に、ST上昇心筋梗塞患者を含めたすべての急性冠症候群患者を対象とした解析を実施することとした。
薬効薬理 1. 作用機序10~13) プラスグレル塩酸塩はプロドラッグであり、生体内で活性代謝物に変換された後、血小板膜上のADP受容体P2Y12を選択的かつ非可逆的に阻害することで血小板凝集を抑制する。
2. 抗血小板作用2,10,13,14) 各種実験動物(ラット、イヌ、サル)に経口投与したプラスグレルは、ADPにより惹起される血小板凝集を抑制した。 健康成人23例に初回負荷用量としてプラスグレル20mgを初日に投与し、翌日から維持用量3.75mg/日を6日間投与したとき、血小板凝集抑制作用は、初回負荷投与1時間後から速やかに発現した。20mgの初回負荷用量により、血小板凝集抑制率は、初回負荷投与1時間後に34%、8時間後に最高値52%を示し、維持用量投与期間中はほぼ同様な値で推移した。
3. 抗血栓作用10,14) ラット動静脈シャント血栓モデル及び電気刺激による動脈血栓モデルにおいて、プラスグレルは経口投与により、用量に依存して血栓形成を抑制した。ラット動静脈シャント血栓モデルにおけるプラスグレルの抗血栓作用は、アスピリンとの併用により増強された。
4. 病態モデルにおける作用13,15) ラット心筋梗塞モデルにおいて、プラスグレル塩酸塩を経口投与すると、心筋梗塞サイズが減少した。プラスグレルは経口投与により、ラット血栓性及び塞栓性脳梗塞モデルにおいて脳梗塞サイズを減少させ、ラット末梢動脈閉塞症モデルにおいて下肢の病変進行を抑制した。
有効成分に関する理化学的知見
一般名 プラスグレル塩酸塩(Prasugrel Hydrochloride)
化学名 5-[(1RS )-2-Cyclopropyl-1-(2-fluorophenyl)-2-oxoethyl]-4,5,6,7-tetrahydrothieno[3,2-c ]pyridin-2-yl acetate monohydrochloride
分子式 C20H20FNO3S・HCl
分子量 409.90
構造式
性状 白色~帯褐白色の結晶又は結晶性の粉末である。 水にやや溶けやすく、N , N -ジメチルホルムアミド及びエタノール(99.5)にやや溶けにくい。 わずかに吸湿性である。
融点 178~179℃(分解)
分配係数 log D(HPLC法);3.23(pH4.5)
包装
エフィエント錠3.75mg (瓶) 100錠 (PTP)100錠 140錠(14錠×10) 500錠 700錠(14錠×50)
エフィエント錠5mg (PTP) 16錠(8錠×2) 80錠(8錠×10) 100錠
主要文献及び文献請求先
主要文献
1) Gilles M, et al.:N Engl J Med. 2013;369(11):999-1010
2) 社内資料:後期高齢者と非高齢者との薬物動態及び薬力学比較試験
3) Small DS, et al.:J Clin Pharm Ther. 2009;34(5):585-594
4) Small DS, et al.:J Clin Pharm Ther. 2009;34(5):575-583
5) Small DS, et al.:J Clin Pharmacol. 2008;48(4):475-484
6) Small DS, et al.:Curr Med Res Opin. 2008;24(8):2251-2257
7) 社内資料:経皮的冠動脈インターベンションを施行予定の急性冠症候群患者におけるクロピドグレル硫酸塩を対照とした二重盲検比較試験
8) 社内資料:待機的冠動脈内ステント治療を要する冠動脈疾患患者におけるクロピドグレル硫酸塩を参照薬とした二重盲検試験
9) Wiviott SD, et al.:N Engl J Med. 2007;357(20):2001-2015
10) Niitsu Y, et al.:Semin Thromb Hemost. 2005;31(2):184-194
11) Hasegawa M, et al.:Thromb Haemost. 2005;94(3):593-598
12) Sugidachi A, et al.:J Thromb Haemost. 2007;5(7):1545-1551
13) Sugidachi A, et al.:J Cardiovasc Pharmacol. 2011;58(3):329-334
14) Niitsu Y, et al.:Eur J Pharmacol. 2008;579(1-3):276-282
15) Ogawa T, et al.:Eur J Pharmacol. 2009;612(1-3):29-34
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本剤は新医薬品であるため、厚生労働省告示第97号(平成20年3月19日付)に基づき、2015年5月末日までは1回14日分を限度として投薬する。
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製造販売元 第一三共株式会社
東京都中央区日本橋本町3-5-1
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